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小林よしのり
2015.2.3 00:59新刊情報

『新戦争論1』の一気読みについて


『新戦争論1』の一気読みが流行っている。

一日で読んでしまうという行為にこだわってる者がいる。

もちろん、一気に読んでしまうほど面白かったのなら

嬉しいし、ドーパミンが出て来て興奮するのかもしれない。

心地よい脳の疲れや、読後の衝撃が余韻を引くのも、

一気読みの楽しさかもしれない。

 

作者としては嬉しい反面、「6か月かかって描いた作品が、

1日で読まれるのか」という虚しい気持ちも湧き起ってくる。

 

漫画って不思議な表現だ。

1コマに何時間もかけてるのに、読者はほんの1秒で読んで

しまったりする。

だったら鉛筆描きのコンテを読ませればいいのでは?と

思うのだが、やはり丁寧に下描きして、ペン入れするときに、

絵を描く者たちの魂が注入されているのだ。

 

たとえ1秒でそのコマを読み流していても、読者に伝わる

何かは、情報を超えたモノがあるのだと思う。

潜在意識に残ってしまう絵の情念が、読者の右脳を刺激して

いるのだ。

 

しばしば役所や企業のパンフレットで漫画が使われるが、

解説のための漫画、絵解きの漫画には、残念ながら作者の

情念が籠っていない。

それは漫画ではなく、図である。

そもそもパンフレットの解説に、作者の主観や情念が入り

込んではならないのだ。

作家性を排して、わかりやすく、誰もが好感を持つように、

描くことが、あの手のパンフレットには求められる。

 

しばしば『ゴー宣』がわかりやすいと言われたりするが、

わかりやすいだけでは『ゴー宣』にならない。

『ゴー宣』は池上彰ではない。解説書ではない。

作者の個性や毒や魂が籠っているのが、『ゴー宣』であり、

だからこそ『ゴー宣』も漫画なのだ。

『新戦争論1』の第1章は、わしがいつか近未来SFとして

描こうと温めていた作品だし、担当の志儀くんは、

「小説なら普通これ一本を大長編で描くんですけどね」と

言っていた。

 

一気読みした者はもう一度じっくり味わえ!

わしやスタッフの苦労も少しは考えてくれ!

泣くぞ!

小林よしのり

昭和28年福岡生まれ。漫画家。大学在学中にギャグ漫画『東大一直線』でデビュー。以降、『東大快進撃』『おぼっちゃまくん』などの代表作を発表。平成4年、世界初の思想漫画『ゴーマニズム宣言』を連載開始。『ゴーマニズム宣言』のスペシャル版として『差別論』『戦争論』『台湾論』『沖縄論』『天皇論』などを発表し論争を巻き起こす。
近刊に、『卑怯者の島』『民主主義という病い』『明治日本を作った男たち』『新・堕落論』など。
新しい試みとしてニコニコ動画にて、ブロマガ『小林よしのりライジング』を週1回配信している。
また平成29年から「FLASH」(光文社)にて新連載『よしりん辻説法』、平成30年からは再び「SPA!」(扶桑社)にて『ゴーマニズム宣言』、「小説幻冬」(幻冬舎)にて『おぼっちゃまくん』を連載開始し話題となっている。

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