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高森明勅
2015.4.10 04:33

陛下、ペリリュー島からご帰国

天皇・皇后両陛下が4月9日、無事にパラオからご帰国。

陛下にとって長年のご宿願が、やっと果たせたことになる。

そのご感慨は拝察するに余りある。

羽田空港で皇太子・秋篠宮両殿下がお出迎えになった。

その当たり前の光景に、何故か胸の詰まる思いがした。

陛下のご出発に当ってのお言葉に、
「祖国を守るべく戦地に赴き」との一節。

一見、何気ないご表現に見えるかも知れない。

しかしこれは、戦没者への「顕彰」に他ならない。

わざわざ「祖国を守る」為と明言されているのだから。

実は平成6年に硫黄島を訪れられた際も、
祖国のために精根込めて戦った人々のことを思い」
述べておられる。

これらは紛れもなく、ご嘉賞(お褒め)のお言葉と拝すべきだ。

それらの戦地で斃れた英霊たちを、
ひたすら“気の毒な”被害者、犠牲者と見るようなお態度では、
全くない。

この点、メディアの取り上げ方は、明らかに奇妙だ。

また注意すべきは、陛下のご慰霊は、まさに一視同仁、
全ての戦死者に及ぶということ。

今回のペリリュー島ご訪問に於いても、然り。

ここパラオの地において、私どもは先の戦争で亡くなった
すべての人々を追悼し」(
晩餐会でのお言葉)とおっしゃった。

これは、例えばサイパン島にお出ましになった時も同様。

戦後60年にあたり、サイパン島を訪問し、
先の大戦によって亡くなったすべての人々を追悼し」
平成17年8月10日)と。

昭和天皇の御製に
「さしのぼる 朝日の光 へだてなく 世を照らさむぞ わがねがひなる」
昭和35年)とあるように、戦死者にも常に「へだてなく」向き合う
よう心掛けておられるのだ。

米軍の慰霊碑に供花されたのも、当然の行動だった。

両陛下とも、とても万全とは言えないご体調で、
しかも巡視船に宿泊され、
ヘリコプターでご移動という悪条件の下、
断固として初志を貫徹された。

その戦没者への強いお気持ちに、深い畏敬と感謝の念を禁じ得ない。

英霊たちもさぞお喜びだろう。

だが、これからお疲れが出ないか。

ご体調を崩されないか。

心配だ。

ご帰国翌日の10日は金曜日で早速、
内閣から閣議などを経て届けられる上奏書類をご決裁になる、
ご執務がある。

これは、法的には最重要のご公務。

ご負担も大きい(ご出発前日の7日も同じくご執務。
皇居勤労奉仕団へのご会釈も)。

陛下は、「天皇」とはいかにあるべきか、
身を挺して実践しておられる。

我々国民は、そのお姿から何を受け取るべきか。

決して他人事ではない。

我々自身が鋭く問われている。

高森明勅

昭和32年岡山県生まれ。神道学者、皇室研究者。國學院大學文学部卒。同大学院博士課程単位取得。拓殖大学客員教授、防衛省統合幕僚学校「歴史観・国家観」講座担当、などを歴任。
「皇室典範に関する有識者会議」においてヒアリングに応じる。
現在、日本文化総合研究所代表、神道宗教学会理事、國學院大學講師、靖国神社崇敬奉賛会顧問など。
ミス日本コンテストのファイナリスト達に日本の歴史や文化についてレクチャー。
主な著書。『天皇「生前退位」の真実』(幻冬舎新書)『天皇陛下からわたしたちへのおことば』(双葉社)『謎とき「日本」誕生』(ちくま新書)『はじめて読む「日本の神話」』『天皇と民の大嘗祭』(展転社)など。

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