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小林よしのり
2015.8.17 03:58日々の出来事

歴史観の戦いは、まだこれからだ


安倍談話について、右派から左派までが大して反感を抱いていない

気がする。

自称保守論壇は安倍真理教だから、これを評価するこじつけ論文が、

来月の論壇誌「正論」や「WiLL」で出てくることだろう。

安倍ちゃん、ワイツゼッカーの真似して上手いことやった、という

評価になるか?

 

だがワイツゼッカーは戦争の罪を認めたのではない。

あくまでもナチスの民族浄化の罪を認めて、その罪をドイツ国民

から切り離したのだ。

 

一方、「世界」など左派論壇では、安倍談話をボロクソに叩く

だろう。

主語がない。謝罪は永久に続けるべきだと。

 

「朝ナマ」で三浦瑠麗が言ってた通り、マイルドな右派から、

マイルドな左派までは、安倍談話を評価するのだろう。

そうだとするなら、わしはマイルドな右派ではないことになる。

あの安倍談話がアメリカの認めるギリギリの線であり、国際社会で

認められるギリギリの線だという認識は本当なのかもしれない。

だったら、わしが外国特派員協会で語った歴史観は、その線を

踏み越えていることになる。

 

テレビで藤岡信勝が安倍談話を評価している姿を見た。

彼は元々、司馬史観だったから、あの談話に抵抗感が少ない。

だが、わしは『戦争論』で、とっくに司馬史観を踏み越えている。

あの談話の歴史観には到底納得できない。

 

満州事変は明確に軍の暴走であり、やや侵略気味ではあるが、

明確に「侵略」とは言い切れない。

そしてあの時代の満州の地域を、日本が統制しなければならな

かったと、わしは考えている。代替案がないのだ。

支那事変以降は間違いなく大失敗だった。これは確信が持てる。

 

しかし安倍真理教の自称保守&ネトウヨは、鳩山由紀夫が韓国で

土下座したら怒り狂うが、安倍晋三だったら感嘆するだろう。

「さすが安倍ちゃん!度量が大きい!」

「安倍ちゃんの土下座は違う。これが本物の日本人の土下座だ!」

なんて言って、万歳三唱するかもしれない。

安倍ちゃんだったら、何をやっても許されるのである。

 

安倍談話とは違う歴史観を、いずれ『大東亜論』で描いていくこと

になるし、また別の作品でも、明らかにしていくことになろう。

まだまだこれからだ。

小林よしのり

昭和28年福岡生まれ。漫画家。大学在学中にギャグ漫画『東大一直線』でデビュー。以降、『東大快進撃』『おぼっちゃまくん』などの代表作を発表。平成4年、世界初の思想漫画『ゴーマニズム宣言』を連載開始。『ゴーマニズム宣言』のスペシャル版として『差別論』『戦争論』『台湾論』『沖縄論』『天皇論』などを発表し論争を巻き起こす。
近刊に、『卑怯者の島』『民主主義という病い』『明治日本を作った男たち』『新・堕落論』など。
新しい試みとしてニコニコ動画にて、ブロマガ『小林よしのりライジング』を週1回配信している。
また平成29年から「FLASH」(光文社)にて新連載『よしりん辻説法』、平成30年からは再び「SPA!」(扶桑社)にて『ゴーマニズム宣言』、「小説幻冬」(幻冬舎)にて『おぼっちゃまくん』を連載開始し話題となっている。

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