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高森明勅
2015.12.29 05:34

禍根を残す日韓合意

日韓関係を阻害する重大な懸案の1つ、慰安婦問題。

法的にはとっくに解決済み。

それでいながら、政治的には時間の経過と共に拡大し、深刻化。

日本の左翼が火をつけて、韓国内の親北勢力が煽り続けた。

勿論、『朝日新聞』などの影響も大きい。

だが、問題がいたずらに長期化した根底的な理由に、
両国が共に安全保障について、アメリカに依存している現実がある。

中国や北朝鮮など眼前の軍事的脅威に対し、
普通なら真剣に
提携の道を探ろうとするはず。

だが、いがみ合っていても、アメリカが守ってくれるから大丈夫
という、
無責任な“安心感”がそれを邪魔してきた。

国内の「保守」系がこの頃、何の不安も抱かず、嫌韓で突っ走ってきた
のも、
自覚されざるアメリカへの依存心のなせるわざ。

この度の合意も、「いい加減にしろ!」というアメリカの仲介による
ところが、
小さくない。

合意はもっぱらわが国が譲歩した内容。

しかもこれまでの、官房長官レベルだった「河野談話」や、
主に民間の資金による「アジア女性基金」(元慰安婦1人あたり
200万円)を、遥かに上回る譲歩。

岸田外相は「軍の関与」と「政府の責任」を明言。

安倍首相も「反省とお詫び」は「今後も揺るぎはありません」と
言い切った。

その上で、韓国の平均年齢90歳近い元慰安婦の生存者46人の支援
の為に、
10億円を政府の予算から支出すると約束した。

これに対し、韓国側は「最終的かつ不可逆的な解決」を文書化するのを
拒否。

日本大使館前の慰安婦像の撤去も「適切に解決するよう努力する」

述べただけ。

当初の日本側の目論見はことごとく外れた。

殆どやらずぶったくり。

それでも、既に韓国内で反発が起きている。

これまで、日本が“解決”を求めて譲歩すればするほど、
事態は悪化してきた。

韓国の大統領も、何度も問題を“蒸し返さない”と約束しながら、
問題はどんどん深みに嵌まってきた経緯がある。

今回も又、それをより悪質な形で繰り返す可能性が高い。

日韓の協力が大切だからこそ、
こんな迎合と誤魔化しを続けていては
いけない。

その上、慰安婦の出身地は韓国だけではない。

台湾が既に動きを見せているようだが、中国、フィリピン、
インドネシア、オランダなどにも波及する恐れはないのか。

安倍政権はアメリカの介入に押されて、
一方的な譲歩を敢えて行った
ことで、
かえって子々孫々に禍根を残すことになりかねない。

高森明勅

昭和32年岡山県生まれ。神道学者、皇室研究者。國學院大學文学部卒。同大学院博士課程単位取得。拓殖大学客員教授、防衛省統合幕僚学校「歴史観・国家観」講座担当、などを歴任。
「皇室典範に関する有識者会議」においてヒアリングに応じる。
現在、日本文化総合研究所代表、神道宗教学会理事、國學院大學講師、靖国神社崇敬奉賛会顧問など。
ミス日本コンテストのファイナリスト達に日本の歴史や文化についてレクチャー。
主な著書。『天皇「生前退位」の真実』(幻冬舎新書)『天皇陛下からわたしたちへのおことば』(双葉社)『謎とき「日本」誕生』(ちくま新書)『はじめて読む「日本の神話」』『天皇と民の大嘗祭』(展転社)など。

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