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小林よしのり
2016.1.6 04:35経済

竹中平蔵「トリクルダウンはない」の正直


週刊ポストが「日本経済は絶好調へ」「こんな奇跡は今年が最後」

などと煽っているが、わしは株なんか買わない。

今年も不景気は続くなんて書いたら、雑誌が売れなくなるから

仕方がないが、結果としてアベノミクス礼賛・安倍政権擁護に

なっていく。

アベノミクス肯定で安倍政権擁護に持っていくのは、マスコミの

常套手段だ。

 

株価もGDPも失業者の減少すら、データは解釈次第だし、

誤魔化しがある疑いがあるので、信用できない。

自分の街中の観察や、一般庶民の報告など、自分自身の実感しか

信じない。

「ゴー宣道場」の門弟や読者からの報告も参考にする。

個人消費が増えない、企業の設備投資が増えないのは、データ通り

だろう。

 

わしが株を買わないのは、自分の才能だけで稼がないと、誇りが

持てないからだ。

 

ただし、一般庶民がわしの本を買う余裕があるくらいの収入は確保

してほしいと願っている。

だから実質的な景気が気になるのだ。

わしは、中間層が子供を育てながら平凡な暮らしができる社会を

壊さないでほしいという願いから、アベノミクスを訝しく見ている。

 

中間層が崩壊して、貧困層が増えていくと、漫画や音楽や書籍など

文化にお金を使えなくなる。

わしはそれが個人的にも、公共的にも問題だと考える。

宮台真二が最近、「感情の劣化」という言葉を頻繁に使うが、まさに

中間層の崩壊、共同体の崩壊によって、日本人の「感情の劣化」

進んでいる。

文化がやせ細れば、そうなるのは当然だろう。

 

正月の「朝ナマ」で、竹中平蔵がついにわしに「トリクルダウンなんか

起こらない!」と断言した。

あれは今回の「朝ナマ」の議論で、最も重要な発言だった。

諸君!トリクルダウンはないのだよ!

 

わしは竹中平蔵を、ある意味、見直した。正直じゃないか!

わしは小泉構造改革のころからずっと「トリクルダウンはない」

言い続けてきたが、その正しさが証明された。

 

下々の民や、中小零細企業が、口を開けて富裕層のおこぼれが滴り

落ちてくるのを待っていても、まったく無駄だと竹中平蔵は言った。

一億総活躍で、もっと工夫して、発想の転換をして、イノベーション

を起こさないから、儲けないだけだ。

自己責任なのだ!

まさに新自由主義だね。

 

マスコミは株価が上下するたびに、景気実感を町の人に聞くのは

無意味だからやめろ!トリクルダウンはない!

まだ街中で世論調査するのなら、「全然儲かりませんね」などと

言う人がいたら、「創意工夫をしてないからだろ!」

と注意しろ。

「自己責任だ!」と怒鳴りつけてやれ。

 

いやあ、厳しい時代になったな。

一般庶民は税金も年金もアベノミクスで博打に使われ、株主と

多国籍企業と海外投機家にたんまり儲けさせて、その果てに

トリクルダウンはない!

 

自分はイノベーションなんて起こせない、ベンチャー企業なんて

作れない、株式投資もできないという一般庶民は、とにかく

貯金をしなさい。

将来どうなるか分かったもんじゃない。

小林よしのり

昭和28年福岡生まれ。漫画家。大学在学中にギャグ漫画『東大一直線』でデビュー。以降、『東大快進撃』『おぼっちゃまくん』などの代表作を発表。平成4年、世界初の思想漫画『ゴーマニズム宣言』を連載開始。『ゴーマニズム宣言』のスペシャル版として『差別論』『戦争論』『台湾論』『沖縄論』『天皇論』などを発表し論争を巻き起こす。
近刊に、『卑怯者の島』『民主主義という病い』『明治日本を作った男たち』『新・堕落論』など。
新しい試みとしてニコニコ動画にて、ブロマガ『小林よしのりライジング』を週1回配信している。
また平成29年から「FLASH」(光文社)にて新連載『よしりん辻説法』、平成30年からは再び「SPA!」(扶桑社)にて『ゴーマニズム宣言』、「小説幻冬」(幻冬舎)にて『おぼっちゃまくん』を連載開始し話題となっている。

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