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高森明勅
2016.2.28 14:13

護憲としての「国防義務」

しきりに「護憲」を唱える人たちがいる。

でも護憲の為には「憲法保障」が欠かせない。

憲法保障とは「
憲法を侵害や背反から守り、憲法秩序の存続と安定を保つこと」
有斐閣『新法律辞典〈第3版〉』)。

その保障の中身は、およそ3点あると見られている。

(1)憲法典の実効性の保障。
2)特定の憲法秩序の保障。
(3)
憲法秩序の前提となる国家の保護。

これらの中の(3)について、憲法学者で京都大学大学院教授の
大石眞氏は以下のように述べてい
る。

「国家保護に属するものとしては、
?国民の国防義務、
?一般的なそなえとしての防衛制度、
?
例外的な非常事態への対応を定めた国家緊急権を挙げることが
でき
る」

「国防の義務は、一般に、祖国防衛義務として憲法に定められるが、
兵役の義務又は徴兵制が明記されることも多い(例、欧州諸国の憲法
典)。

いずれも日本国憲法には見られないが、憲法が掲げる国民の義務…は、
限定的なものと解することはできない。
したがって、
憲法に明文の規定がないことを理由として、
国民はおよそ国防義務を負わないと結論することはできないであろう」

「国家緊急権が問題となるのは、憲法典が前提としている国家や
政治的
共同体の存立自体が脅かされている場面である。
したがって…
たとい憲法典に明文の根拠規定がなくても、
国家や政治的共同体というものの存立を認める限り、国家緊急権は
不文憲法上の権能として認められると考えるべきであ
ろう。

もちろん、立憲主義の観点からすると、国家緊急権の具体的な発動要件
や手続・
効果などをあらかじめ明確に定めておくことが望ましいこと
は、
言うまでもない」(『憲法講義?〈第2版〉』)と。

ごくまっとうな指摘だろう。

護憲を貫く為には、国民の国防義務を明確にする必要がある。

立憲主義を重んじるなら、国家緊急権についても、
“あらかじめ”
明文の規定を設けておくべきだ。

しかし、それらを顧慮しないどころか、むしろ排斥しようとする
「護憲」
派ばかり。

ということは、よほど馬鹿揃いか、本気で憲法を守る気などなく、
護憲を掲げながら他の政治目的を達しようと目論んでいる、
としか考えられないだろう。

付記

2月26日にアップした記事につき、2点訂正。

(1)東電 「2月25日」を「2月24日」に。

(2)WiLL 「飛鳥書房新社」を「飛鳥新社」に。

申し訳ない。

高森明勅

昭和32年岡山県生まれ。神道学者、皇室研究者。國學院大學文学部卒。同大学院博士課程単位取得。拓殖大学客員教授、防衛省統合幕僚学校「歴史観・国家観」講座担当、などを歴任。
「皇室典範に関する有識者会議」においてヒアリングに応じる。
現在、日本文化総合研究所代表、神道宗教学会理事、國學院大學講師、靖国神社崇敬奉賛会顧問など。
ミス日本コンテストのファイナリスト達に日本の歴史や文化についてレクチャー。
主な著書。『天皇「生前退位」の真実』(幻冬舎新書)『天皇陛下からわたしたちへのおことば』(双葉社)『謎とき「日本」誕生』(ちくま新書)『はじめて読む「日本の神話」』『天皇と民の大嘗祭』(展転社)など。

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