ゴー宣ネット道場

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笹幸恵
2016.3.4 09:23

大槌メディアセンター

昨日、日本トルコ文化交流会が主催する

「エルトゥールル号からの恩返し

日本復興の光大賞」の授賞式に行きました。

 

最近、映画『海難1890』も公開されたので

ご存知の方も多いと思いますが、

エルトゥールル号というのは、

オスマン帝国の軍艦のことです。

1890年に和歌山県串本町沖で遭難し、

町民たちが総出で乗員69名を救出した・・・という

エピソードがあります。

 

それから百年近くが経過した1985年。

イラクイラン戦争が激化する中、

テヘランにいた日本企業の社員や家族たちが、

トルコ航空によって救い出されました。

いわく「エルトゥールル号の恩返し」。

 

ちなみにその後、1998年に起きたトルコ地震では、

トルコ政府の要請に応じ、海上自衛隊が

いち早く仮設住宅を届けています。

さらに東日本大震災では、トルコは宮城県で

救助活動を行なってくれました。

 

そんなこんなで友好関係が続くトルコなので、

もう今さら「エルトゥールル号の恩返し」でも

ないと思うのですが、一応、そう銘打って、

何を表彰しているのかというと・・・

(ここからが本題)

東日本大震災で、支援のために地道に

頑張っている人々、です。

彼らに光を当て、表彰しようという主旨なのです。

それを日本トルコ文化交流会が主催しています。

本当は日本政府が大々的にやってもいいのでは???

 

それはともかく、今回大賞を受賞したのは、

「大槌メディアセンター」です。

岩手県の大槌町で、「大槌新聞」の

取材、執筆、編集、発行を一人で担っている

菊池由貴子さん。

この方のスピーチがまた素晴らしかった!

 

震災前まで、自分の町のことを考えたこともなかった。

人口がどのくらいいるのか、町長さんは誰なのか、

そんなことも関心がなかった。

そんな私が新聞を発行しているのは、

「私たちの町」の情報を知りたかったから。

 

大手新聞さんは新聞を届けてくれました。

でもお隣の釜石市の情報は載っていても、

大槌町のことはわかりません。

私たちがあのとき知りたかったのは、

今、自分のいる地域で何が起きているか

だったのです。

 

情報が得られないので、自分で調べ、

新聞にして発行を始めました。

最初は、どこで物資を受け取れるか、

といった情報を載せていました。

今は、「大槌は絶対に良くなる」と信じて、

町の再建やその方向性などを取材し、

発信を続けています。

 

マスコミや政治家の皆さんに言いたい。

本当に知りたい情報を知りたい人のところへ届ける、

これが本来のメディアの役割ではないですか。

地域を、国を、本当に良くしていくには

どうすればいいか、それこそが政治家の

原点ではないですか。

(注記:これらは笹がざっくりと聞き取った内容です)

 

この会場には、政治家が何人か来ていました。

でも、来賓祝辞で自分のスピーチが終わると、

さっさと帰っていました。

そんな議員の演説なんて、復興には何の役にも

立ちません。

震災から誰に言われるわけでもなく、

ひたすら新聞を発行し続けた

一人の女性の言葉のほうが、

何倍も胸を打ちます。

気負うことなく、飄々と語る姿も印象的でした。

 

 

その後、子供たちによるミニ・コンサートがありました。

復興支援ソングの「花は咲く」を子供たちが歌う中、

隣のトルコ人男性がひっそりと涙をぬぐっていました。

 

笹幸恵

昭和49年、神奈川県生まれ。ジャーナリスト。大妻女子大学短期大学部卒業後、出版社の編集記者を経て、平成13年にフリーとなる。国内外の戦争遺跡巡りや、戦場となった地への慰霊巡拝などを続け、大東亜戦争をテーマにした記事や書籍を発表。現在は、戦友会である「全国ソロモン会」常任理事を務める。戦争経験者の講演会を中心とする近現代史研究会(PandA会)主宰。大妻女子大学非常勤講師。國學院大學大学院文学研究科博士前期課程修了(歴史学修士)。著書に『女ひとり玉砕の島を行く』(文藝春秋)、『「白紙召集」で散る-軍属たちのガダルカナル戦記』(新潮社)、『「日本男児」という生き方』(草思社)、『沖縄戦 二十四歳の大隊長』(学研パブリッシング)など。

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