ゴー宣ネット道場

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高森明勅
2016.5.6 08:37

雅子妃殿下のご療養が「国民を傷つける」?

先に「西尾・加地」対談について簡単に論評した。

その中で、西尾氏が雅子妃殿下のご療養が「国民を傷つけている」
といった意味の発言をしているのを紹介した。

それに対し、何故そんな理屈になるのか、西尾氏の頭脳構造に疑問を
抱いた人もいるらしい。

そこで若干補足しておく。

西尾氏の言い分はこうだ。

皇室の行事にはたいてい欠席する雅子妃が妹一家とは頻繁に
お会い
になっている。平成15年(2003年)から祭祀には
いっさいお出になりません。園遊会にも、
新年祝賀の儀にも、
歌会始にも、講書始にも、赤十字の集いにも、
多くの宮中晩餐会にも、
そして庭先の奉仕団へのご挨拶にも出られないのに、スキーだけは
休まない。そういうことが国民を傷つけています」
と。

どうして西尾氏ほどの知識人が、かくも事実に基づかない発言を、
平気で連発できるのか。

まず、それが不思議だ。

例えば皇室祭祀については、今年の4月3日に神武天皇「2600年」式年祭「皇霊殿の儀」にお出ましになって、ご立派に皇后陛下の
御名代(ごみょうだい)
としてのお務めを果たされたのは、
記憶に新しい。

その前にも、平成21年に昭和天皇「20年」式年祭に、やはり
皇后陛下
の御名代としてお出ましになっている。

「平成15年から…いっさいお出になりません」
なんてデタラメもいいところ。

園遊会については改めて言う迄もあるまい。

昨年秋と今年の春に続けて、
限られた時間ながらご出席されている。

新年祝賀の儀に至っては平成18年以来、欠かさずお出まし
但し、内閣総理大臣以下が陛下に祝賀を申し上げる場には
いらっしゃらな
い)。

宮中晩餐会も、平成26年10月(オランダ国王を迎えて)
昨年6月(フィリピン大統領を迎えて)
の晩餐会などにご出席に
なっている。

西尾氏の発言はウソっぱち。

講書始は年初に当代一流の学者が陛下にご進講申し上げる場。

だから、他の皇族はただ陪聴を許されている、
という立場に過ぎない。

歌会始もご健康ならともかく、ご療養中の妃殿下が無理をして、
どうしても出席されねばならない行事ではない。

皇居勤労奉仕団へのご会釈は元々、天皇・皇后両陛下にとっても、
皇太子殿下にとっても、実は過大なご負担になっている。

ご療養中の雅子妃殿下の場合、回数は少ないものの、
皇太子殿下と
ご一緒される場面もある(
例えば今年の1月12日など)。

私も家族も、この奉仕に参加させて頂いた経験がある。

私の周囲にも奉仕の経験者は多数いる。

皆、皇太子殿下のご会釈を賜るだけで過分なご配慮と、恐縮している。

勿論、妃殿下もご一緒ならより嬉しいのが人情だろう。

それでも、ご奉仕に参加するくらいの気持ちがあるなら、
ご療養中の妃殿下もご一緒じゃなければ不満という人は、
あまりいないはず。

ちなみに一般参賀については、妃殿下は平成15年の天皇誕生日と
同6年の新年・
天皇誕生日の時には、特にお加減が悪く欠席されて
いるものの、
翌年から1回、2回、3回、5回と次第に回数を
増やしてこられている。

西尾氏らは、勤労奉仕は無理でも、一般参賀には参加したことが
あるのだろうか。

地方でのご公務もなされるようになりつつある
昨年10月の福島や鹿児島へのお出ましなど)。

その背後には、懸命のご努力と国民への強いお気持ちがあるのを、
見落としてはならない。

そもそも、そうしたご公務は、前にも言ったが、皇室のご厚意に
よるもの。

国民の側から不平不満を申し上げるのは筋違い。

しかも、皇太子殿下は欠かさずお出まし下さっている。

それでどうして「そういうことが国民を傷つけています」
という話になるのか。

妃殿下はようやくご快復の兆し
が見え、徐々にお出ましの機会も
増えつつある。

ご快復を邪魔したい訳でもあるまいに、
何故わざわざこの最悪の
タイミングで、
事実に基づかない不謹慎なバッシングに走るのか。

なお、ご療養の一環としてご近親に会われたり、スポーツをされたり
すること迄、
一々目くじらを立てて見当外れな非難をするのは一体、
どういう了見だ。

こんな調子だと、将来、悠仁親王殿下のご結婚相手に対しても、
過去には皇后陛下への心ないバッシングもあったし、必ずや雅子妃殿下
へのバッシングと同じような“仕打ち”
が繰り返されると、考えられて
しまう。

そうした予想の下、一体、勇気を持ってご結婚に踏み切る女性や、
それを後押しする親は、
現れるだろうか。

西尾氏らは、己れが何をしているか、分かっているのか。

高森明勅

昭和32年岡山県生まれ。神道学者、皇室研究者。國學院大學文学部卒。同大学院博士課程単位取得。拓殖大学客員教授、防衛省統合幕僚学校「歴史観・国家観」講座担当、などを歴任。
「皇室典範に関する有識者会議」においてヒアリングに応じる。
現在、日本文化総合研究所代表、神道宗教学会理事、國學院大學講師、靖国神社崇敬奉賛会顧問など。
ミス日本コンテストのファイナリスト達に日本の歴史や文化についてレクチャー。
主な著書。『天皇「生前退位」の真実』(幻冬舎新書)『天皇陛下からわたしたちへのおことば』(双葉社)『謎とき「日本」誕生』(ちくま新書)『はじめて読む「日本の神話」』『天皇と民の大嘗祭』(展転社)など。

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