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高森明勅
2016.7.28 01:00

譲位と国民統合

國學院大學名誉教授の大原康男氏は、
恐らく葦津珍彦(
あしずうずひこ)氏亡き後、天皇・皇室について
最も「権威」
を持って語ることができる学者だろう。

その大原氏が、この度の天皇陛下の「譲位」のご意向を巡り、
次のように述べておられる。

「何よりも留意せねばならないのは『国事行為』や
『象徴としての公的行為』の次元の問題ではなく、『
同じ天皇陛下が
いつまでもいらっしゃる』という『ご存在』
の継続そのものが
『国民統合』
の根幹をなしていることではなかろうか」と。

だが、畏れ多いことながら
「同じ天皇陛下が“いつまでも”
いらっしゃる」ことは、事実において
不可能。

だからこそ、これまで125代にわたる皇位の継承が行われて来た。

更にこれから先も(
今上陛下のご長命を祈り上げる気持ちは勿論
ながら)、現実に“
永続”不可能な「『ご存在』の継続そのもの」
ではなく、
代々の天皇によって皇祖以来のご血統と祈りが“無窮”
受け継がれて行くことを、
多くの国民は願っているのではないか。

「“同じ”天皇陛下がいつまでもいらっしゃる」のではなく、
“新しい”
天皇陛下のご即位があったからと言って、たやすく
国民統合の根幹」が揺らぐようでは、皇位の「万世一系」など到底、
望み難いだろう。

大原氏は以前、次のように述べておられた。

「『日本国民統合』は…〈状態概念〉である…〈状態〉の象徴は
さらに動態(
アクティブ)が加味されなければ、その役割を十分に
果たすことができない」と。

即ち、その静態的な「ご存在」だけでなく、
天皇が「動態」的に“行為”
に関わられることが、
「国民“統合”の象徴」
として極めて重要である、と
強調しておられたのだ。

この指摘は、譲位のご意向が明らかになった今、一層、
説得力を増している。

高森明勅

昭和32年岡山県生まれ。神道学者、皇室研究者。國學院大學文学部卒。同大学院博士課程単位取得。拓殖大学客員教授、防衛省統合幕僚学校「歴史観・国家観」講座担当、などを歴任。
「皇室典範に関する有識者会議」においてヒアリングに応じる。
現在、日本文化総合研究所代表、神道宗教学会理事、國學院大學講師、靖国神社崇敬奉賛会顧問など。
ミス日本コンテストのファイナリスト達に日本の歴史や文化についてレクチャー。
主な著書。『天皇「生前退位」の真実』(幻冬舎新書)『天皇陛下からわたしたちへのおことば』(双葉社)『謎とき「日本」誕生』(ちくま新書)『はじめて読む「日本の神話」』『天皇と民の大嘗祭』(展転社)など。

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