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高森明勅
2016.10.10 01:00

皇室典範改正「第4次草案」

皇室典範改正「第4次草案」



10月9日、ゴー宣道場。

私の皇室典範改正「第3次草案」の全文を発表した。

しかし、参加者はどのくらいいるだろうか。

参加者が改正案の解説に興味を示してくれるだろうか。

事前に様々な不安があった。

些か精根を込めて改正案を作っても、“壮大な空振り”に
終わる恐れがある、と。

だがフタを開けてみると、会場は参加者で一杯。

改正案の説明をしていて、会場の集中力が切れて来たら、
条文を離れて一般的な“考え方”に話題を転じたり、
師範方との討議に移るつもりだった。

だが、参加の皆さんには極めて熱心に耳を傾けて戴いた。

だから、十分な時間を使って説明出来た。

第2部でも、いきなり改正案を配布して、
条文に即した質問が出てくるか、
心配していた。

ところが、十分に読み込んだ質問が次々に寄せられた。

これほど嬉しいことはない。

私なりに真剣に取り組んだ甲斐があったというもの。

例えば、第5条については、女性天皇や内親王・女王の配偶者の
「称号」
を確定できないので、敢えて挿入していなかった部分に
質問が来た。

しっかり読んでくれている証拠だ。

ならば、次のような暫定案を考えてみてもよい。

「皇后、皇婿、太上天皇、太皇太后、太皇太婿、皇太后、皇太婿、
親王、親王妃、内親王、内親王配、王、王妃、
女王及び女王配を
皇族とする」

皇「后」と親王「妃」・王「妃」との区別に倣って、
皇「婿」と内親王「配」・女王「配」
という区別も加えた。

関連して第17条、第23条、第27条などにも
追加する必要がある。

勿論、より検討を加えるべきだろう。

またアンケートに「皇太兄・皇太姉」も追加すべきでは、
という意見もあった。

確かに道場でも説明したように、
皇兄や皇姉が皇嗣になる
可能性も皆無ではない。

しかし、極めてレアなケースで、皇太弟や皇太妹と違って、
かなり訳アリな場合と見なければならない。

皇嗣なら誰でも「皇太〇」とすれば良いという事ではない。

皇兄、皇姉にも皇位継承の資格を認めるという事と、
「皇太〇」
という称号を認めるというのは区別する必要がある。

よって、私の改正案では意図的に外した
(今の典範では、
直系優先の立場から敢えて「皇太弟」を
外した可能性もある)。

また、太上天皇には皇位継承資格を認めないと説明しながら、
私の第2条の改正案では資格を認めている、と指摘を受けた。

確かに指摘の通り。しかし、その場で再考したように、
他に皇族が皆無なら、継承資格を認める以外にない。

よって改正案には手を加えないでおく。

また、女王を王と同じように位置付ける前提として、
永世皇族制そのものを見直す場合(例えば4世までを皇族と
するなら)、第6条に
「…
3世及び4世の嫡系嫡出の子孫は、男を王、女を女王とする」
と規定すれば良い(差し当たりこの改正は考えていないが)。

私の提案に、誠実に応えてくれた質問者の方々に深く感謝。

お蔭で予想以上に充実した道場になった。

こんな議論が出来る場が他にあるだろうか。

高森明勅

昭和32年岡山県生まれ。神道学者、皇室研究者。國學院大學文学部卒。同大学院博士課程単位取得。拓殖大学客員教授、防衛省統合幕僚学校「歴史観・国家観」講座担当、などを歴任。
「皇室典範に関する有識者会議」においてヒアリングに応じる。
現在、日本文化総合研究所代表、神道宗教学会理事、國學院大學講師、靖国神社崇敬奉賛会顧問など。
ミス日本コンテストのファイナリスト達に日本の歴史や文化についてレクチャー。
主な著書。『天皇「生前退位」の真実』(幻冬舎新書)『天皇陛下からわたしたちへのおことば』(双葉社)『謎とき「日本」誕生』(ちくま新書)『はじめて読む「日本の神話」』『天皇と民の大嘗祭』(展転社)など。

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