ゴー宣ネット道場

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高森明勅
2016.10.26 01:00

至ってシンプルな「譲位制」の為の典範改正

10月のゴー宣道場に参加された方々は、譲位制を採用する為に
必要な皇室典範の改正が、思いの外、
簡単なのに驚かれたはずだ。

というのは、これまで一部の知識人が、やたらと“困難さ”
強調して来たからだ。

しかし、それは、宿題をやりたくないから難しさを言い立てる
サボり好きの小学生の
ようなもの。

或いは本当に無知なのか。

当日、披露した改正案にその後、2ヶ条追加したので、
ここに改めて、
譲位制に“だけ”対応する改正案を掲げる。

現行条文の改正が7ヶ条、追加条文が1ヶ条だ。

まず最も重要なのは第4条。

「天皇が退位し、又は崩じたときは、皇嗣が、直ちに即位する」
これで退位が可能になる。

その「要件と手続き」は?

 同条の2。

「天皇は、皇嗣が成年に達しているときは、その意思に基(もとづ)
き、皇室会議の議により、
退位することができる」

これで強制や恣意的な退位を避けることができる。

これで、その他の改正は殆ど“自動的”に決まる。

退位された後の天皇の称号は歴史的に「太上天皇」。

これを変更すべき理由も、他に適切な称号もない。

「先帝」という語を“称号”と勘違いしている人がいるようだ。

そうではなく、一般的に先代
の天皇を指す言葉に過ぎない。

前社長とか前校長というようなもの。

だから当然、使えない。

よって、当たり前ながら「太上天皇」という称号を採用する。

また当然、皇族の身分に留まられる。

よって第5条に「太上天皇」を追加。

「皇后、太上天皇、太皇太后、皇太后…を皇族とする」
皇族の身分に留まられているなら、場合によっては摂政に
就任される可能性も、
全面的に排除すべきではない。

よって第17条第1項にやはり「太上天皇」を追加。

第3号の「皇后」の後に入れる。

又、敬称も決める必要がある。

「陛下」か「殿下」か。

今の制度で既に「皇太后」が「陛下」だから当然「陛下」。

まさか、今上陛下が退位されたからと言って「殿下」

お呼びする訳には勿論、いかない。

第23条第1項にも「太上天皇」を追加。

「天皇、皇后、太上天皇、太皇太后及び皇太后の敬称は、陛下とする」
更に、その「葬る所」
は「陵」か「墓」か。

当然、「陵」(現在の制度で既に皇太后は陵)。

よって、第27条も「太上天皇」を追加。

「天皇、皇后、太上天皇、太皇太后及び皇太后を葬る所を陵、
その他の皇族を葬る所を墓とし…」それから、道場当日にお配りした
第3次草案では抜け
ていた2ヶ条。

まず、第33条第2項。皇室会議は議長(首相)が招集するのが原則。

だが重要な事項は、4人以上の議員の要求で開催できる。

首相1人だけの態度に左右されるのを防ぐ趣旨だろう。

退位も無論、これに該当させるべきだ。

改正案は次の通り。

皇室会議は、第3条、第4条の2…の場合には、4人以上の
議員の要求があるときは、
これを招集することを要する」

もう1つ、第35条第1項。

皇室会議の議事について、重要な案件は3分の2、
その他なら過半数と規定している。

このままだと、退位という最重要事を過半数で議決することに
なってしまう。

よって、次のように改正する。

「皇室会議の議事は、第3条、第4条の2、…の場合には、
出席した議員の3分の2以上の多数でこれを決し…」

以上で全て。

至ってシンプル。

高森明勅

昭和32年岡山県生まれ。神道学者、皇室研究者。國學院大學文学部卒。同大学院博士課程単位取得。拓殖大学客員教授、防衛省統合幕僚学校「歴史観・国家観」講座担当、などを歴任。
「皇室典範に関する有識者会議」においてヒアリングに応じる。
現在、日本文化総合研究所代表、神道宗教学会理事、國學院大學講師、靖国神社崇敬奉賛会顧問など。
ミス日本コンテストのファイナリスト達に日本の歴史や文化についてレクチャー。
主な著書。『天皇「生前退位」の真実』(幻冬舎新書)『天皇陛下からわたしたちへのおことば』(双葉社)『謎とき「日本」誕生』(ちくま新書)『はじめて読む「日本の神話」』『天皇と民の大嘗祭』(展転社)など。

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