ゴー宣ネット道場

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小林よしのり
2016.11.19 04:11メディア

「天声人語」の神話否定は天皇否定になる


朝日新聞の「天声人語」を見てバカバカしくて嗤ってしまった。

衆院憲法審査会で、自民党の安藤裕議員が皇室典範について

「天皇の地位は日本書紀における『天壌無窮の神勅』に由来

するものだ」したがって「国会ではなく皇室の方々でお決め頂き、

国民はそれに従うという風に決めた方がいい」と発言したらしい。

まったくの正論だ。

安藤議員が本当にそう言ったのなら、立派な国会議員がいるもの

だと感心する。

自民党の議員も「叛逆者」ばかりではないということになる。

 

ところが「天声人語」はこの発言を非難する。

曰く「国民の代表が自ら国民主権を否定するような物言いである」

と怒っているのだ。

典型的な戦後憲法原理主義の感覚であり、国民主権病である。

この感覚では、そもそも天皇は国民のロボットか奴隷になって

しまう。

家系のことまで自由意思を奪われるのだ。

 

皇位継承に関する天皇の意思表明がそもそも「政治発言」と

されていること自体がおかしいのだ。

天皇陛下は「立憲君主制」である限り、現実的な政治案件に

踏み込む発言などしてはならないと当然自覚されている。

ただ、「譲位」にしろ「皇位継承」にしろ、家系のことであり、

皇室が続くか否かの瀬戸際に来ている問題である。

そこに国民が無頓着だから、「公」の立場から焦っておられる

のだ。

このまま天皇制を消滅させてよいでしょうかと。

 

こういう場合は、政府が宮内庁から天皇の意向を内々に確認

して、政府が先回りして対処するという方法でしか、

「立憲君主制」は維持できない。

安藤裕議員は正当なことを言ったのだ。

 

朝日新聞は「国民主権」を利用して、天皇制を廃止したいの

だろう。

岩井克己の作戦どおりに世論作りをしている。

 

さらに言わねばならぬが、神話を持ち出すと、戦前の軍部が

「天皇主権説」で暴走していった一時期に回帰すると朝日の

記者は考えるようだ。

逆に自称保守・産経新聞の連中は、天皇に祭祀だけさせて、

国民との絆を断ち切り、政治利用だけしろという、戦前の軍部

と同じ主張をする。

朝日新聞と自称保守はちょうど真反対の位置から、天皇制を

誤解したまま思い込んでいる。

極左と極右の戦いなのだ。

天皇制を強い国家に利用しようとする極右と、それを恐れて

「国民主権」で天皇制を廃止させようとする極左の戦いになって

いるわけである。

 

それにしても天皇制が、特に神話が、戦前の軍部に利用された

から危険だという考えを持つ記者って、いったい何歳なのだ?

小国民世代くらいしか、そんな思い込みは持ってないはずだが、

それとも団塊世代の左翼記者だろうか?

 

「天壌無窮の神勅」が天皇を君主とする根拠であるのは当然で、

神話を国家の有効なフィクションとしておくのが、「立憲君主国」

の国柄だろう。

それはアメリカ大統領が聖書に手を置いて宣誓するのと同じ

ことだ。

 

右派も左派も、思い込みだけで主張していて、バランス感覚が

悪すぎる。

2月に『天皇論 平成29年』が発売されたら、漫画だからと

馬鹿にせず、熟読してほしい。

小林よしのり

昭和28年福岡生まれ。漫画家。大学在学中にギャグ漫画『東大一直線』でデビュー。以降、『東大快進撃』『おぼっちゃまくん』などの代表作を発表。平成4年、世界初の思想漫画『ゴーマニズム宣言』を連載開始。『ゴーマニズム宣言』のスペシャル版として『差別論』『戦争論』『台湾論』『沖縄論』『天皇論』などを発表し論争を巻き起こす。
近刊に、『卑怯者の島』『民主主義という病い』『明治日本を作った男たち』『新・堕落論』など。
新しい試みとしてニコニコ動画にて、ブロマガ『小林よしのりライジング』を週1回配信している。
また平成29年から「FLASH」(光文社)にて新連載『よしりん辻説法』、平成30年からは再び「SPA!」(扶桑社)にて『ゴーマニズム宣言』、「小説幻冬」(幻冬舎)にて『おぼっちゃまくん』を連載開始し話題となっている。

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