ゴー宣ネット道場

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高森明勅
2016.11.22 01:00

櫻井よしこ氏の無知

自分がよく知らない事には軽々しく口を挟まない。

それが成熟した大人の最低限の思慮分別というものだろう。

それが重大かつ厳粛なテーマならなおさらだ。

ならば櫻井よしこ氏は、
皇室について口を挟まむのを
差し控えられるべきだった。

例えば11月20日の産経新聞に載った文章を拝見しても、
その無知さは歴然としている。

そこで同氏は、畏れ多くも今上陛下に当事者能力なしと
“烙印”
を押すことになる「摂政を置かれることが最善」と断言する。

ご健康で責任感に溢れる陛下に、そのような無礼を働くのが
最善」とは!

その舌の根も乾かないうちに、一方で陛下のご負担を軽減する為に
国事行為や公的行為は皇太子さま、秋篠宮さまが臨時代行などの
制度を活用して分担するなど、
工夫ができます」とも述べる。

読んでいて恥ずかしくなる。

国事行為の臨時代行に関する法律」すら読まないで
発言しているのが丸見え。

臨時代行は「摂政を置くべき場合を除き」(第2条)、
その委任がなされる。

摂政を置くのなら、臨時代行はいらない。

摂政を置く場合は、皇室典範の規定(第17条)により
皇太子殿下が摂政に就任され、
国事行為を“全面的”に代行される。

それを更
「皇太子さま、秋篠宮さまが…分担」ってどういう事なのか。

その上、臨時代行も法律上、“もっぱら”皇太子殿下がなさる
臨時代行に関する法律第2条、皇太子殿下に「疾患」「事故」
がある場合に“だけ”秋篠宮殿下に更に委任)。

皇太子殿下は、摂政と臨時代行を意味も無く、“掛け持ち”されるのか。

櫻井氏は、自分が何を言っているか、理解出来ているのだろうか
この記事をまとめた広池記者も)。

「陛下のご日常を…優先順位を組み替え、陛下が大切になさっている
祭祀のための時間を確保することは可能
です」とも。

陛下の「ご日常」にまで口を挟もうとする傲慢さに驚く。

しかも、祭祀は今も“既に”最大限、優先的に扱われている。

その事実すらご存じない。

他の用事で忙しくて、祭祀の時間が取れないなんて話は、
聞いたことがない。

無知さ加減も酷いレベルながら、それ以上に、勝手にこんな根拠のない
想像を吹聴していること自体が、祭祀を「
大切になさっている」陛下に
非礼この上ない。

物理的な“時間の確保”なんぞが問題なのではない。

天皇の祭祀は、まさに天皇たるに相応しい「務め」を果たせてこそ、
真に意味を持ち得ると厳しく自覚しておられるのだ。

更に「国民感情は、陛下の思いを大切に受け止め、ご日常の過度な
負担を何とかしてさしあげたいというものでしょう
」などとも。

忠誠な圧倒的多数の国民は、先祖たちもそうだったように、
ただ陛下のお気持ちに添いたいのだ。

その陛下のお気持ちは、「過度な負担を何とか」というレベルの
話では、勿論ない。

国民の為に尽くすという、天皇の役割と務めを断固守りたいと、
ひたすら願われているのだ。

形式的に天皇「である」だけの存在と、実際に天皇の「役割を果たす」
摂政に、“天皇”
が分裂するのを極力避けようとされている。

その明白な事実にどうして気付かないのか。

両陛下への感謝と配慮は当然です。
一方で皇室と国家の安定を念頭に置いた国家のあり方の問題は別」
とも。

何と尊大な物言いか。

陛下は「皇室と国家の安定」を“誰よりも”真剣かつ切実に
探究されている。

その結果、遂に8月8日に“玉音放送”が行われる事になった。

その尊い事実を何故、真面目に受け止めないのか。

高森明勅

昭和32年岡山県生まれ。神道学者、皇室研究者。國學院大學文学部卒。同大学院博士課程単位取得。拓殖大学客員教授、防衛省統合幕僚学校「歴史観・国家観」講座担当、などを歴任。
「皇室典範に関する有識者会議」においてヒアリングに応じる。
現在、日本文化総合研究所代表、神道宗教学会理事、國學院大學講師、靖国神社崇敬奉賛会顧問など。
ミス日本コンテストのファイナリスト達に日本の歴史や文化についてレクチャー。
主な著書。『天皇「生前退位」の真実』(幻冬舎新書)『天皇陛下からわたしたちへのおことば』(双葉社)『謎とき「日本」誕生』(ちくま新書)『はじめて読む「日本の神話」』『天皇と民の大嘗祭』(展転社)など。

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