ゴー宣ネット道場

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小林よしのり
2016.11.25 23:20日々の出来事

「朝ナマ」の議論を面白くするには?


朝ナマが終わると24時間起きているにも関わらず、眠れなくなる。

仕方がないからブログを書くが、朝ナマの議論を面白くするには

どうしたらいいのだろうと考えてしまう。

人を楽しませたいと思ってしまうわしにとって、朝ナマの議論は

どうしても欲求不満になる。

自分の意見が通るか否かではなく、楽しませられなかったという

不満なのだ。

 

例えば、北方領土の返還交渉の推移を延々聞かされたらその途中

で視聴者は離れるだろう。

日ロの間の交渉人がどんなに友情を温め合い、信頼を醸成しても、

わしは領土返還は不可能だと思っているし、二島返還も無理

だろうと思っている。

よほどロシアが苦境に立たないと、主権を譲り渡すことはない。

 

ロシアがアメリカをサイバー攻撃しているからトランプが

プーチンと仲良くなるはずがないと言っても、トランプはオバマの

時代のロシアとの関係を変化させてくるはずだと、プーチンは

思っている。

そう予測される現状では二島返還もなくなった。

ましてや国後・択捉の主権の問題を未解決のまま今後も話し合う

なんてことはない。

平和条約を焦れば食い逃げされるだけだろう。

返還交渉の経緯を長々と聞いても、面白くないから、視聴率が

落ちる。

 

そして孫崎氏の戦争はもうないから軍備が要らないという

主張で、紛糾すること自体がバカバカしい。

国家は軍事力なしでは成立しないのだから議論の意義がない。

今どきあんな空想平和主義の議論を聞いてる暇はないのだから、

わしならテレビを消して寝る。

 

さらに言うが、政治家や官僚を混ぜると議論はどうしても

前例踏襲主義や現状維持に流れるので、全然つまらない。

政治家や官僚というのは、思想がない。

現状維持が一番安全と思ってるから、まさにトランプ支持者が

嫌ったエスタブリッシュメントであり、インテリ権力なのである。

日本もアメリカも体制派は話が面白くないのだ。

 

現在の閉塞感にうんざりした、劇的に変えたいと思う国民が

トランプに票を入れたのだから、トランプが劇的な変化をせずに、

現状維持になるのならば、支持率が一気に下がるだろう。

 

だが日本人にはアメリカのような選択は出来ないのだ。

腰抜けの現状維持を支持して、意地でもアメリカに抱きつこう

という連中しか右派にも左派にもいない。

ならば議論だけでも思想的な可能性を模索してやろうという

気力すらない。

 

トランプ前もトランプ後もまったく変化のない議論しかでき

ないのだから、面白くなるわけがない。

国会でやってくれというような議論しか今の朝ナマは出来なく

なっている。

そこが昔とは違うのだ。現実的になり過ぎた。

 

議論は自分が変化してもいいと構える度胸のある者とやらない

と面白くならない。

例えばグローバリズムに関する議論も、三浦瑠麗氏との間で

全然深まらない。

だいたいわしが「頭でっかちの議論」かどうか、もっと深めて

みなければ分からないだろうに、三浦氏にしたってもう自分が

正しいと決め込んでいる。

 

だが、三浦氏がいくらグローバリズムを肯定したところで、

トランプはTPPから離脱するのだ。

多国間の自由貿易を否定したということは保護貿易に戻ると

いうことである。

NAFTAは後戻りできないというのは、グローバリズム主義者の

希望的観測だろう。

NAFTAこそがメキシコからの移民を増やして、アメリカ人の

雇用を奪ったのだから、現状を放置しておけば、トランプの

コアな支持者を失う。

NAFTAに対する何らかの対策を取らねばならないところに、

トランプは自分を追い込んでしまった。

 

さらに言っておくが、例え日本との二国間だけでFTAをやると

言ったとしても、すでにグローバリズムではない。
二国間の貿易交渉は、わしも賛成だ。
グローバリズムではないからな。

ただし、わしは自由貿易自体を否定するから、FTAは危険だ
思っている。

非関税障壁の領域に入ってくる自由貿易はダメなのだ。

 

貿易は1970年代までのインターナショナルな貿易に戻るべきだ

と思っている。

現在のトランプが公約している保護主義的な政策は、まさに

グローバリズムを止めるということである。

グローバリズムは、始めるのも止めるのも、アメリカ主導だった

わけだ。

アメリカのわがままだったということである。

 

結局、三浦氏と一対一の議論を一時間くらい続けなければ、

視聴者には問題点は見えてこないだろう。

だが朝ナマはそれが出来ない。
最も重要な議論が、あっという間に途切れてしまうのだ。

ああいう議論を見ていて視聴者は面白いのだろうか?

 

それから宋文洲の三浦氏に対する「おまえに聞いてない」という

あの「おまえ」という言い方はまさに「男尊女卑」である。

男に対して「おまえ」と言えるか?

あれは女だから威圧的に「おまえ」と言ったのだ。

こういう男尊女卑は日本人のオヤジに多いが、中国人もやっぱり

「男系主義」の発祥地であるから、ああいう女性蔑視な発言を

するのだな。

 

宋文洲は、わしに対して「右翼」と言っていたが、その「右翼」の

イメージも、おそらく中国人から見た「反日」的な目線からのもので

しかあるまい。

あの議論のマナーの悪さは、中国人だからと言いたいが、実は日本人

にもいくらでもいる。

 

一体、どうしたら面白くて深く考えさせる議論が朝ナマで出来るの

だろう?

井上達夫氏と『ザ・議論!』でやったような、意見が違っても、

相手の意見に偏見を持たず、じっくり聞くというやりかたは、

やっぱり朝ナマだと無理なんだと思う。

人数が多すぎるのも一因だ。

 

だがテレビ的には、深夜に少人数でじっくりより、大人数で

やいのやいのと言ってる方が視聴率が取れるのだろうか?

全然分からないが、毎回、面白くしようと思って出掛けるのだが、

無残に敗れている気がする。

 

 

 

小林よしのり

昭和28年福岡生まれ。漫画家。大学在学中にギャグ漫画『東大一直線』でデビュー。以降、『東大快進撃』『おぼっちゃまくん』などの代表作を発表。平成4年、世界初の思想漫画『ゴーマニズム宣言』を連載開始。『ゴーマニズム宣言』のスペシャル版として『差別論』『戦争論』『台湾論』『沖縄論』『天皇論』などを発表し論争を巻き起こす。
近刊に、『卑怯者の島』『民主主義という病い』『明治日本を作った男たち』『新・堕落論』など。
新しい試みとしてニコニコ動画にて、ブロマガ『小林よしのりライジング』を週1回配信している。
また平成29年から「FLASH」(光文社)にて新連載『よしりん辻説法』、平成30年からは再び「SPA!」(扶桑社)にて『ゴーマニズム宣言』、「小説幻冬」(幻冬舎)にて『おぼっちゃまくん』を連載開始し話題となっている。

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