ゴー宣ネット道場

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小林よしのり
2017.1.15 03:46日々の出来事

トランプはグローバリズムの破壊者となるか?


トランプ氏が記者会見の振る舞いなどで益々、評判を

落としている。

わしもツイッターで一方的に脅しをかけて、議論その

ものを封じるというやり口には嫌悪を催す。

 

だがアメリカ人も日本人も、トランプという人物への

嫌悪感と、政治家としての政策を一緒くたにしてしまう

のは間違いだろう。

 

今までグローバリズムの弊害を論じてきた知識人や

メディアでさえも、トランプの保護主義的な方向性を

批判している。

グローバリズムは格差拡大するからダメ、保護主義は

自国中心主義だからダメと、両方批判するのなら、

一体どうしろと言うのか?

二者択一ではないと言うのなら、その方法論を示す

べきだろう。

 

わしはトランプの方向性は間違っていないと思っている。

メキシコに生産工場を作って、メキシコの雇用を創出し、

低コストで低価格の製品を作って、米国に輸出するという

多国籍企業の手口は、賃金の「底辺への競争」を加速して、

結果的には米国の雇用者の賃金を引き下げ、雇用を奪う

道に繋がっている。

 

トヨタが米国内にも投資すると弁解しても、米国内の

労働者の賃金はメキシコ人の賃金水準まで下がっていくのだ。

 

中間層が崩壊していく恐れが強いから、それを食い止める

と言ったトランプに、米国人の多くが投票した。

サンダースだって、若者の多くが反グローバリズムの期待

から支持したのだ。

グローバリズム・自由貿易に対する反発が、米国内に拡大

していることは間違いない。

 

トランプは中間選挙までに自分の支持者の期待に応えねば

ならない。

そのために、早くもツイッターの指先介入だけで、

多国籍企業の国内回帰をもたらすとは、トランプの破壊力

は大したものだ。

 

共和党が「国境税」を作ると言っているが、日本の知識人も

それはWTOに抵触するから無理だと言っている。

果たしてそうなのか?

 

誰が大統領になったって、グローバリズムは歴史の不可逆的な

潮流だと妄信している者の石頭を、トランプは破壊してしまう

のではないだろうか?

グローバリズムは人為的な計略だと分からせるには、

やはりトランプくらい破壊的な人物でなければならないの

かもしれない。

 

ちなみに言っておくが、保護主義は鎖国主義ではない。

国内の弱い産業は守るが、貿易はインターナショナルに行う

という1970年代までの日本の健全な国家の姿だ。

日本は保護貿易で高度経済成長を達成したのである。

 

さらに言っておくがリンカーンは保護貿易主義者である。

アメリカは保護貿易で、建国の時代の工業化を成功させた

のである。

トランプは建国の理念に戻っているだけだ。

小林よしのり

昭和28年福岡生まれ。漫画家。大学在学中にギャグ漫画『東大一直線』でデビュー。以降、『東大快進撃』『おぼっちゃまくん』などの代表作を発表。平成4年、世界初の思想漫画『ゴーマニズム宣言』を連載開始。『ゴーマニズム宣言』のスペシャル版として『差別論』『戦争論』『台湾論』『沖縄論』『天皇論』などを発表し論争を巻き起こす。
近刊に、『卑怯者の島』『民主主義という病い』『明治日本を作った男たち』『新・堕落論』など。
新しい試みとしてニコニコ動画にて、ブロマガ『小林よしのりライジング』を週1回配信している。
また平成29年から「FLASH」(光文社)にて新連載『よしりん辻説法』、平成30年からは再び「SPA!」(扶桑社)にて『ゴーマニズム宣言』、「小説幻冬」(幻冬舎)にて『おぼっちゃまくん』を連載開始し話題となっている。

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