ゴー宣ネット道場

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笹幸恵
2017.1.24 15:15

論点が整理されていない「論点整理」

有識者会議の論点整理を全文読んでみたけど、

なかなかにひどい。

とりわけ天皇陛下の退位について。

 

「将来の全ての天皇を対象とする場合」

(つまり皇室典範改正)の積極論は10件、課題は23件。

 

「今上陛下に限ったものとする場合」

(つまり一代限りの特例法)の積極論4件、課題は3件。

 

なんとなく皇室典範改正だと問題多いよ、みたいな?

これもまた印象操作か。

 

実際に「将来の全ての天皇を対象とする場合」の
【課題】とされる部分を読んでみたけど、

やたらに重複があり、また課題とさえ言えないものもある。

 

まずは明らかな重複。

 

時の社会情勢や国民の意識など、天皇を取り巻く状況が

さまざまに変わりうるので、恒久法で規定できない。

あるいは規定すべきではない。

 

こういう主旨のコメントが5件もある。

まとめればいいじゃん。

 

また、以前もブログで取り上げたけれど、こんな意見。

 

皇室典範に根拠を持つ特別法において、一代限りでなく

後代まで適用可能にするとか、皇室典範の付則で今上陛下だけに

適用するという法形式も可能ではないか。

 

わざわざ皇室典範に根拠を持つ特別法にしなければならない

という理由が一切見つからない。

特例法ありきのこじつけ以外の何物でもない。

しかもこれ【課題】でも何でもないし。
特例法の積極論に入れたらいかが?

 

しかも、議論の流れだろうか、この意見に対して

たしなめるような意見が次に載っている。

 

法制的な法形式論よりも、今上陛下のこのご状況に限って

判断するのか、それとも全ての天皇を対象とする制度を作るのか

ということが、議論の本質なのではないか。

 

その通りだと思います。

そして、この本質云々のコメントを、全く関係ないのに

【課題】にぶち込んでみせるセンスがすごい。

 

あとは唐突に仮定を加えて実態からかけ離れるケースも。

 

皇室会議に、具体的な要件を設定することなく「白紙」で

天皇の退位に係る判断を担わせることは困難なのではないか

 

そりゃ、どんな優れた組織も「白紙委任」じゃ

判断は困難ですわよ。

これ【課題】って言えるレベルなの?

 

あとは天皇の意思や職務遂行能力を条件とすることなど、

すでに高森先生が指摘し論破されているので省略しますが、

いずれにしても、議事録から「それっぽい」意見を

抽出して、ただ並べただけのような中身です。

 

有識者会議が掲げる【課題】なのだから、

もっと論点が明確で、解決すべき問題点が

きっちり明記されていると思ったけど。

それが「論点整理」かと思っていたけど。

 

じつにです。

笹幸恵

昭和49年、神奈川県生まれ。ジャーナリスト。大妻女子大学短期大学部卒業後、出版社の編集記者を経て、平成13年にフリーとなる。国内外の戦争遺跡巡りや、戦場となった地への慰霊巡拝などを続け、大東亜戦争をテーマにした記事や書籍を発表。現在は、戦友会である「全国ソロモン会」常任理事を務める。戦争経験者の講演会を中心とする近現代史研究会(PandA会)主宰。大妻女子大学非常勤講師。國學院大學大学院文学研究科博士前期課程修了(歴史学修士)。著書に『女ひとり玉砕の島を行く』(文藝春秋)、『「白紙召集」で散る-軍属たちのガダルカナル戦記』(新潮社)、『「日本男児」という生き方』(草思社)、『沖縄戦 二十四歳の大隊長』(学研パブリッシング)など。

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