ゴー宣ネット道場

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切通理作
2017.2.5 03:03

天皇陛下への感謝は危険思想?

    SAPIO2・3月号での、小林よしのりさんと八木秀次さんの対談、前・後編通しで読み返しました。

天皇陛下の生前退位および皇位の安定的継承について話をする時の、「論点整理」としては、有識者会議のそれなどより、くっきりと問題点を浮き彫りにしていると思い、その意味での意義を感じました。

 ここでの論点の内、特に印象に残ったのは以下の15点です。

 

1 天皇陛下ご自身による意思表明の是非

2 「摂政」はよくないが「臨時代行」ならいい?

3 今上天皇の公務をありがたく思うのは天皇の「能力評価」につながり、危険?

4 天皇陛下は「やって当たり前」のお立場なのか?

5 皇太子は天皇の子でなくてもよい?天皇の弟を「皇太子」と呼べるか?

6 庶民感覚にそぐわない制度でいいのか?

7 有識者会議は国民に「わかりにくさ」を植えつけるためのもの?

8 特例法で落ち着いたとしても皇位継承問題は残る

9 「皇族になってもよい」という人がいるなら連れてこれるのか

10 該当者がいない法律は作れない

11 「皇族になってもよい」という人の存在は事前に国民に知らせるべき?

12 聖域で育っていない「皇族になってもよい人」は、「馬の骨」とみなしていい?

13 男系は皇統の正当性そのもの?

14 男系、双系は陛下の見識が第一

15 男系で皇位の安定的継承は出来るのか

 

 1は天皇陛下ご自身による発言自体が問題であるというような、サヨクの一方の層やリベラル派との対話に応用できそうです。八木氏は、こういうところだけ都合よくリベラルの理屈を持ってきている感じがします。

 2は、八木氏の摂政否定論は結局「現状をしのぐ」ための「臨時代行」が落としどころなのだと改めてわかりました。

 

 3の八木氏の論理には呆れました。天皇陛下が国民のためを思っての行動をいくらなさっても、それを国民が受け止めること自体、危険思想だというのですから。

 これじゃあ、普通だったらやる気がとことんまで削がれるというか「モチベーションがゼロ」になるというもの。そんなことが真っ当だとする「有識者」がいる中でも、天皇陛下を「やっていただいている」ことに、国民の一人として申しわけなく思うと共に、本当に感謝の気持ちが湧きあがってきます。

 

 7に関しては八木氏自身が「あのヒアリングは、国民にはわかりにくい難しい問題があることを浮上させるのが目的」と、内幕をバラしてしまっています。わざと話を難しくして「勉強不足のお前らには考える資格がない」ということを強迫しているわけですね。

 

 9から12の「皇族になってもよい人」の存在問題は、小林さんの言う10の論点に尽きると思います。そういう人がいたとして、マスコミの注目を浴びたらかわいそうだから表に出せないというのはまったく本質論ではないでしょう。

 

そして13から15の男系、双系問題。ここには二つの本質があり、ひとつは陛下のご意志を無視した立場に固執する問題ではないということ。その上で、国民の意見として、あくまで男系にこだわるというのなら、それで皇位の安定的継承は出来るのかということにはどう答えを出すのか?……ということなのだなと。

 

 本日はゴー宣道場の打合せです。当日の論点としてどのようなものが想定されるのか、じっくりと考えさせて頂きたいと思います。

切通理作

昭和39年、東京都生まれ。和光大学卒業。文化批評、エッセイを主に手がける。
『宮崎駿の<世界>』(ちくま新書)で第24回サントリー学芸賞受賞。著書に『サンタ服を着た女の子ーときめきクリスマス論』(白水社)、『失恋論』(角川学芸出版)、『山田洋次の<世界>』(ちくま新著)、『ポップカルチャー 若者の世紀』(廣済堂出版)、『特撮黙示録』(太田出版)、『ある朝、セカイは死んでいた』(文藝春秋)、『地球はウルトラマンの星』(ソニー・マガジンズ)、『お前がセカイを殺したいなら』(フィルムアート社)、『怪獣使いと少年 ウルトラマンの作家たち』(宝島社)、『本多猪四郎 無冠の巨匠』『怪獣少年の〈復讐〉~70年代怪獣ブームの光と影』(洋泉社)など。

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