ゴー宣DOJO

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倉持麟太郎
2017.2.13 09:06

チーム民進党

昨日2月12日のゴー宣道場には、細野豪志議員と山尾志桜里議員がゲストとして参加した。野党では発信力・政策論議ともにトップクラスの二人だろう。
二人の議論を以下にまとめると
【実体的議論】
これは、見逃されがちだが、今回のお言葉を含めた退位問題の本質は、「恒久的な皇位継承ルールを創設すること」である。
これが叶えば、本来、それがどのような法規範によるかはまさに法技術的な問題となる。
ここに、憲法の要請により、国家の基幹的正当性を担保するため、「皇室典範によるべき」という命題が導かれ、結果的に、「皇室典範による恒久的な皇位継承ルールの創設」という最終命題が導出される。
退位のみは特例法でも、呼称は典範改正が必要であり、したがって、典範改正が実現する、などというのは与してはならない詭弁である。
これらの点は明確にされた。
また、細野議員の「人権」と「人格」の論点提示は、論理を越えた人間存在へのまなざしを我々に迫った。

【手続的議論】
手続論としては、山尾議員の発した「落としどころは探さない」という一点に尽きる。
”皇室典範改正による恒久的制度の創設”というゴールが見えている中、それ以外の「落としどころ」などない。
上記のような”まやかしの典範改正”によって民進党にも花道を作った、などという駆け引きによって得た果実は、毒リンゴでしかない。

交渉の常道としても、カードの広げ方と切り方は大事だ。
民進党は、「対案は出さない」「百歩譲って特例法だったとしても」などといって、自ら極めて不適切な時期及び方法でカードを切ってはいけない。
これも、二人にかかっている。細野議員の党内説得力に期待している。

【民進党の歩む道】
昨日の二人はとても熱気があった。しかし、国会の予算委員会等の議場傍聴でライブで体験するとわかるが、民進党にはまったく熱気や一体感がない。逆に与党は良くも悪くも、「一丸」となっている。地鳴りのようなヤジに、抗議のため息すら議員全員の息があっている。与党席だけでウェーブでも見たい
前に、巨人軍の選手が、甲子園での阪神ファンの応援が凄すぎて、気づいたら守っているときに相手の応援にあわせて足を踏み鳴らしていた、という巨人ファンとしては改宗を迫りたくなるエピソードを聞いたことがある。与党の一体感は甲子園のファンに通じるものがある。

これに対して、民進党の席は数の問題ではなく熱気がない。質問者を応援し、一丸となって与党と対峙する気迫をまったく感じない。
質問者は孤軍奮闘。
他の議院は知識もないからヤジもでない。せめて、その日の質問に関する知識が豊富な議員は席を陣取るべきだ。与党は知識と関係なくとめどないヤジであるが。
これは知性の問題ではない。知性だけでは勝てない。
個の力がなければ勝てないが、個の力だけでは勝てない。
このままでは、政権交代の緊張感がまったく存在せず、権力はさらに弛緩する。
細野・山尾両氏が個の力があるのは明らかだが、それだけでは勝てない。
全員が全員に対して関心をもち、新しい力や現在落選中の人々の復活を含め、どのような動きをすることがチームとしての力を向上させるのかを真剣に考えてほしい。
政策論議では、退位問題は、結束の一番地として最高ではないか。これよりも結束を高められるアジェンダはない。

是非妥協せず、自虐的になることなく、戦い抜いてほしい。

倉持麟太郎

慶応義塾⼤学法学部卒業、 中央⼤学法科⼤学院修了 2012年弁護⼠登録 (第⼆東京弁護⼠会)
日本弁護士連合会憲法問題対策本部幹事。東京MX「モーニングクロ ス」レギュラーコメンテーター、。2015年衆議院平和安全法制特別委員会公聴会で参考⼈として意⾒陳述、同年World forum for Democracy (欧州評議会主催)にてSpeakerとして参加。2017年度アメリカ国務省International Visitor Leadership Program(IVLP)招聘、朝日新聞言論サイトWEBRONZAレギュラー執筆等、幅広く活動中。

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