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高森明勅
2017.7.15 23:00

特例法を巡る謎

天皇陛下のご譲位を可能にする特例法。

一般には余り気付かれていないようだが、
1つ大きな謎がある。

それは、最終的に皇室会議の関与が法律に盛り込まれた事実。

これは不思議だ。

何故なら、与野党の合意(国会見解)では、
あくまでも“努力目標”という「軽い」扱いにとどまっていたからだ。

政府は国会見解での合意事項さえ、
押し戻そうと姑息な動きを見せた。

にも拘らず、
努力目標に過ぎなかった皇室会議の関与が、
しっかり条文に明記された。

これは何故か。

与野党協議の場で、政府の意向を代弁する自公両党は、
皇室会議の関与に頑強に反対した。

皇室会議には皇族2方がメンバーに加わっておられる。

よって皇室会議の関与は、
天皇の国政権能を否定した憲法に抵触する、と。

無茶なロジックだ。

天皇が憲法上、国政権能を否定されている自らの地位を退くことは、
それ自体、
何ら国政事項ではあり得ない。

むしろ“皇室の長”でいらっしゃる天皇が、
その地位を退かれるに当たり、
皇室を構成する皇族の意向が全く排除されるのは、余りにも不合理。

だからこそ、私どもは「譲位3要件」の1つとして、
これを掲げた。

しかし与党側は、それに最も強く抵抗した。

その結果、国会見解では努力目標に“引き下げ”られた。

こうした経緯から、
政府が自発的に皇室会議の関与を追加した
可能性は、殆ど皆無。

野党も、合意事項に明確に反した場合なら、
与党側を信義に悖ると責めることが出来る。

だが、努力目標は合意事項と迄は言えない。

攻撃の決め手が無い状況だった。

だから皇室会議の関与は、
かなり悲観的にならざるを得なかったのが実情。

ところが、フタを開けてみれば条文に明記されていた。

政府自身の意向でないのは勿論、
野党の要求がそのまま通ったとも、想像しにくい。

そこには、もっと“別”の、
かなり強力な要素が関わったとしか考えられない。

それは何か。

消去法で考えれば、
分かる人には直ちに分かるはずだ。

高森明勅

昭和32年岡山県生まれ。神道学者、皇室研究者。國學院大學文学部卒。同大学院博士課程単位取得。拓殖大学客員教授、防衛省統合幕僚学校「歴史観・国家観」講座担当、などを歴任。
「皇室典範に関する有識者会議」においてヒアリングに応じる。
現在、日本文化総合研究所代表、神道宗教学会理事、國學院大學講師、靖国神社崇敬奉賛会顧問など。
ミス日本コンテストのファイナリスト達に日本の歴史や文化についてレクチャー。
主な著書。『天皇「生前退位」の真実』(幻冬舎新書)『天皇陛下からわたしたちへのおことば』(双葉社)『謎とき「日本」誕生』(ちくま新書)『はじめて読む「日本の神話」』『天皇と民の大嘗祭』(展転社)など。

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