ゴー宣ネット道場

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高森明勅
2017.7.17 22:00

アベノミクスという災厄

アベノミクスについて、早くから警鐘を鳴らして来た
エコノミストの1人に、
中原圭介氏がいる。

彼の発言から。

「日銀が国債だけでなく、民間のETFやREITを
大量に購入している様子を見ると、
私の目には安倍政権と
日銀の本音は、『地価や株価を上昇させ、
その資産効果によって
富裕層の消費を増やし、
それにより企業の業績を向上させる』こと、
すなわちバブル期さながらの資産インフレを引き起こすことにある
としか思えない」

「現在の物価上昇は円安を原因とするもので、
生活コストを上昇させ実質賃金を減少させるまさに
悪いインフレ』なのです」

インフレ目標を達成するために無理やり金融緩和を続けて
円安を引
き起こして、たとえそれで日本の輸出が増加しても
現実には増加していませんが―日本国民の生活は豊かになる
どころか、
かえって苦しくなってしまう」

「政府の規制改革や税制・金融の見直しなど成長のための取り組みは、
大企業を対象とするものではなく、中小企業の活性化に向けたもの
でなくてはなりません。
しかし、
現状はそうなっていません。
金融緩和やそれと連動する円安を見ても、
それによって恩恵を受けるのは国内で製造しグローバルな販路を持つ
大企業であり、
逆に被害を受けるのは輸入素材を加工して国内市場で
販売している
中小企業です」

日本で従業員の7割を占める中小企業については、
ほとんどの場合、円安によって経営はむしろ苦しくなっており、
賃上げの余裕はありません」

「アベノミクスでは、企業が従業員を解雇しやすくする方向で
法改正を行おうとしていま
す。
解雇条件の緩和や株主重視など、
日本企業のガバナンスを
アメリカ流に変えようとしているのです。
これは大きな問題を含んでいる」

アメリカでは長年のインフレ政策と行き過ぎた
株主資本主義の蔓延
により、中流層が疲弊、富裕層と貧困・準貧困層
の二極化が進んでいます。
アメリカ型の新自由主義を信奉し、インフレ政策と株主への
利益還元を強制するアベノミクスにより、
アメリカ後追いの動きを
強めています。
果たして、
それでいいのでしょうか」
(『
格差大国アメリカを追う日本のゆくえ』平成27年)

アベノミクスによって、日本人の生活は何もしなかったよりも
さらに悪くなってしまいまし
た。
安倍首相は2016年5月のG7では各国首脳に対して、
世界経済はリーマン・ショック並みの危機に備える必要がある』
と訴え…海外メディアの多くは『
消費増税を延期するために、
リーマン並みの危機を煽った』
との批判的に見方を示しましたが、
日本経済の実態を冷静に見ていると、安倍首相の認識はある意味で
正しいのかもしれないと思われます。
日本国民の生活水準の落ち込みを考えれば、確かに家計部門は
リーマン・
ショック時と同じような状況にあったからです。

…2013年〜2015年の実質賃金の下落率は累計して
4、
6ポイントにまでなっていて、この下落幅はリーマン・ショック
期に匹敵していました。
…国民の購買力がリーマン・
ショック期と同様に落ち込んでいる
というのに、
GDPの6割を占める個人消費が増えるはずがなかった
このような現状を見れば、大手メディアの世論調査で押しなべて
8割が景気回復を実感していない』という結果が出るのは、
当然のことである」
(『中原圭介の経済はこう動く〔
2017年版〕』平成28年)

経済学者の服部茂幸氏もこう述べていた。
アベノミクスの手本はアメリカにある。
そのアメリカでは、
2008年の危機後、金融と富裕層が
急速に復活する。
他方、
雇用の回復が遅れ、中間層の没落が続く。
…アベノミク
スの結果も、こうしたアメリカの現実を見れば、
予想されたことであろう」
(『偽りの経済政策』平成29年)と。

高森明勅

昭和32年岡山県生まれ。神道学者、皇室研究者。國學院大學文学部卒。同大学院博士課程単位取得。拓殖大学客員教授、防衛省統合幕僚学校「歴史観・国家観」講座担当、などを歴任。
「皇室典範に関する有識者会議」においてヒアリングに応じる。
現在、日本文化総合研究所代表、神道宗教学会理事、國學院大學講師、靖国神社崇敬奉賛会顧問など。
ミス日本コンテストのファイナリスト達に日本の歴史や文化についてレクチャー。
主な著書。『天皇「生前退位」の真実』(幻冬舎新書)『天皇陛下からわたしたちへのおことば』(双葉社)『謎とき「日本」誕生』(ちくま新書)『はじめて読む「日本の神話」』『天皇と民の大嘗祭』(展転社)など。

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