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高森明勅
2017.7.31 22:00

植民地化を免れた国語

英語の〈普遍語〉としての覇権がさらに広がり、
世界中の「国語」
が危機に晒されている。

『日本語が滅びるとき』の著者、水村美苗氏の警鐘に耳を傾けよ。

日本においてはみなが日本語で通じ合い、
英語で通じ合えることがエリートのサインではない。
英語ができる人が威張っており、収入もよく、
社会の権利側に立つという構造になっていない
…世界を見回せば、
インテリが読む言語は英語で、
それ以外の人が読むのが現地語だという国がいかに多いことでしょう」

「いろいろな国をまわりましたが、
自国語が植民地化を免れたことに日本ほど自覚を持たない国も、
自国語が滅びることに危機感を持たない国も珍しい」

非西洋圏でここまで機能している言語を国語として
持っている国は
珍しい」

「たしかに言語は自然に変わっていく。
でも『書き言葉』を中心に考えれば、国家の介入なしには
説明できないことがたくさんあります。
トルコのアタテュルクは、近代化政策としてアラビア文字を
廃止してローマ・
アルファベットを使うことを決めました。
近代中国でも繁体字から簡体字に移行した。
日本でも敗戦後に新仮名づかいに移行した。
国家は、
国民を過去から遠ざけたいときに
過去のものを読みにくくする」

「日本の言語教育の話に戻れば、まずは、
『書き言葉』
の持つ意味をしっかり捉えるところから
始めてほしいと思います。
『書き言葉』は1000年前のものであっても読むことができる。
国語の教科書で現代の作品ばかり読ませるなんて馬鹿な話はない。
明治の樋口一葉ぐらいまでは遡って読めるのが常識となるべき
なの
です」

「(日本語にとっては漢語・漢文の教養も大切で)谷崎潤一郎なども、
漢籍を座右に置いて執筆していたと言います。
でも、もう今は近代以前の日本文学に戻るのも、漢籍に戻るのも
無理でしょう。
私自身、
自分の貧しい日本語がこれ以上貧しくならないよう、
せめてくり返し読むのは漢文ができた作家に限ろうとしています」

「日本語を使う人しか日本語の行く末を考えてくれません。
自分たちの言葉が亡びないかどうか、『書き言葉』として
今までと同じだけの重みを持ちうるかどうか、
それが自分たちの選択にかかっていることに私たちが意識的になり
言語政策に反映させていく。それしかないのです」
(『
中央公論』8月号)

そう言えば、いっぱしの「保守」きどりで、
漢文教育を止めろ、とかホザいていたのがいたっけ。

高森明勅

昭和32年岡山県生まれ。神道学者、皇室研究者。國學院大學文学部卒。同大学院博士課程単位取得。拓殖大学客員教授、防衛省統合幕僚学校「歴史観・国家観」講座担当、などを歴任。
「皇室典範に関する有識者会議」においてヒアリングに応じる。
現在、日本文化総合研究所代表、神道宗教学会理事、國學院大學講師、靖国神社崇敬奉賛会顧問など。
ミス日本コンテストのファイナリスト達に日本の歴史や文化についてレクチャー。
主な著書。『天皇「生前退位」の真実』(幻冬舎新書)『天皇陛下からわたしたちへのおことば』(双葉社)『謎とき「日本」誕生』(ちくま新書)『はじめて読む「日本の神話」』『天皇と民の大嘗祭』(展転社)など。

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