ゴー宣DOJO

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高森明勅
2017.8.7 08:40

枝野幸男議員には驚いた

8月のゴー宣道場。

ゲストは衆議院議員の枝野幸男氏と法哲学者の井上達夫氏。

実に濃密が議論が展開された。

予想を上回る内容。

議論の密度という点では、これまでで最高だろう。

それも殆どゲスト2人だけの間での議論だった。
これは前代未聞。
珍しい道場だった。

井上氏は期待に違わぬ明朗かつ緻密で攻撃的な論じっぷり。
現代の日本でも有数の論争家だろう。
道場でもまさに氏の面目躍如の白熱議論を展開してみせてくれた。
しかし、それにも増して驚いたのは枝野幸男議員だ。

枝野氏は民進党の代表選挙が間近に迫っている。
当然、
多忙であり、選挙にマイナスになる事は
極力避けたいタイミング。
道場への参加は正直に言って、
リスクはあってもメリットは乏しい、
と私でも察することが出来る。
普通の政治家ならキャンセルしていたはずだ。
よくぞ登壇して下さったと思う。
その誠実さに深く感謝したい。

だがそれ以上に、
代表選を控え、発言に制約があり、
殆ど手足が縛られたような状態の中で、
舌鋒鋭い井上氏の突っ込みに対し、
互角に論争しておられたのには驚いた。

党の立場、代表選で支援してくれる議員たちへの配慮、
取材に来ていたメディアに誤解を与えない気配り。

それらを全て織り込みながら、軽やかに、
時には挑発を交える余裕も見せながら、変幻自在、
一歩も引かないで、討論をやり切られた。
異常な説明能力の高さと言うしかない。
今の政界で、
ここまでの論争力を持った政治家はいるだろうか。

私は今回、殆ど発言していない。
理由は振り返ってみると、
恐らく2つだろう。

1つは、ゲスト2人が「護憲的」改憲論の枠内で、
充実したレベルの高い議論を繰り広げておられたこと。
私が「
改憲的」改憲論(こんな言葉、あったかな?)の立場から
積極的に議論に介入すると、焦点が拡散し、
間違いなく議論の質が
粗悪になったはずだ。
それは勿体ないし、
避けたかった。

また、護憲的改憲論の枠内の討論であっても、
ハンディキャップを背負った枝野議員が明らかに
劣勢に立たされた
ような場合なら、私なりに及ばずながら
介入を試みたに違いない。

だが、その必要はなかった。

そうした理由から発言する機会は殆どなかった。

でも、こんな道場があっても良いのではないか。
むしろ、
かくもレベルの高い「議論」又は「ディベート」
(井上氏は議論、
枝野氏はディベートをやっていたのかも知れない)を、間近に拝見できてラッキーだった
枝野議員の益々のご活躍を祈り上げる。

高森明勅

昭和32年岡山県生まれ。神道学者、皇室研究者。國學院大學文学部卒。同大学院博士課程単位取得。拓殖大学客員教授、防衛省統合幕僚学校「歴史観・国家観」講座担当、などを歴任。
「皇室典範に関する有識者会議」においてヒアリングに応じる。
現在、日本文化総合研究所代表、神道宗教学会理事、國學院大學講師、靖国神社崇敬奉賛会顧問など。
ミス日本コンテストのファイナリスト達に日本の歴史や文化についてレクチャー。
主な著書。『天皇「生前退位」の真実』(幻冬舎新書)『天皇陛下からわたしたちへのおことば』(双葉社)『謎とき「日本」誕生』(ちくま新書)『はじめて読む「日本の神話」』『天皇と民の大嘗祭』(展転社)など。

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