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高森明勅
2017.9.9 22:00

『葉隠』の一節

三島由紀夫が愛読していた『葉隠(はがくれ)』。

武士道といふは死ぬ事と見附けたり」
という言葉が有名だ。

一方、人生の機微にわたる細々とした心得も記している。

例えばー 「ある者の昇進の審議があったとき、
以前大酒を飲んで乱れたことがあったのを理由に、
昇進させるべきでないことに衆議が一決しようとした。
そのとき、
その場にいた1人が次のように言ったものである。
1度くらい過ちがあったといってその人を見捨てるようでは、
人物は育つまい。
1度過ちを犯した者はその過ちを後悔するものであり、
かえってよく己れを慎んでお役に立つものである。
昇進させてよろしいではないか』

そこで、別の1人が、
貴殿が責任を持つと言われるか』と言った。

『確かに、拙者が保証人となってよろしい』と答えた。

そのとき、他の人たちが、
『どのような理由で保証されるのか』
と言ったところ、
『1度過ちがあった者であるから、
保証人になったのである。

1度も過ちのない者は、
これからどんな過ちをするか、
かえって危険な気がいたす』
と言われたので、
その者は昇進を認められたということである」
と。

勿論、「過ちを後悔」も
反省もしないような者は論外だろう。

高森明勅

昭和32年岡山県生まれ。神道学者、皇室研究者。國學院大學文学部卒。同大学院博士課程単位取得。拓殖大学客員教授、防衛省統合幕僚学校「歴史観・国家観」講座担当、などを歴任。
「皇室典範に関する有識者会議」においてヒアリングに応じる。
現在、日本文化総合研究所代表、神道宗教学会理事、國學院大學講師、靖国神社崇敬奉賛会顧問など。
ミス日本コンテストのファイナリスト達に日本の歴史や文化についてレクチャー。
主な著書。『天皇「生前退位」の真実』(幻冬舎新書)『天皇陛下からわたしたちへのおことば』(双葉社)『謎とき「日本」誕生』(ちくま新書)『はじめて読む「日本の神話」』『天皇と民の大嘗祭』(展転社)など。

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