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高森明勅
2017.10.8 22:00

リベラル「憲法改正」論の登場!

10月ゴー宣道場。

倉持麟太郎弁護士の基調講演が立派だった。

期待を裏切らない、というレベルを越えていた。

全く新しい憲法改正論が、
初めてその全貌を“垣間”見せた。

リベラル的改憲」論。

これまで世間的には、リベラルと言えば護憲の代名詞。

逆に改憲派は皆、いわゆるリベラル否定に傾く。

だからリベラル的改憲論という言葉自体が、
殆ど語義矛盾と受け取られかねない。

しかしリベラルならば、
必ずリベラル的価値を守る立憲主義を重んじなければならない。

立憲主義を重んじるならば、憲法規範の形骸化を進める、
憲法9条下自衛隊のなし崩し的な役割の拡大という現実に、
どこかで歯止めをかけねばならない。

その場合、どうしても憲法の改正が求められる
自衛隊を直ちに解体するという選択肢を支持しない限り)。

あるいは、眼前の憲法の規範性への侵害の横行を見れば、
その規範性を保障する為に、憲法裁判所を新たに設ける必要が
あるだろう。
その為にも憲法改正が欠かせない。

等々。

本来、リベラルの立場からこそ憲法改正が唱えられるべきだった。

憲法は、他でもないリベラル的価値を守る為にこそ、
生み出されたからだ。

そのリベラル的改憲論の枠組みを、限られた時間の中で、
見事に提示した。

勿論、私から補足したり、訂正をしたりすべき部分が
無かった訳ではない。

大きな欠落としては、これまでの良質な改憲論の主柱だった、
自立」「主権回復」という課題への配慮が殆ど抜けていた。

しかし、リベラルという立場から、体系的、整合的な、
首尾一貫した斬新な憲法改正「理論」の雛型が、ほぼ
過不足なく提案された事実は、高く評価すべきだ。

些か難解だったり、取っ付きにくい印象を感じても、当然だ。

ただ専門的な議論と言うより、
これまで誰も聴いた事がない議論」
が目の前で精密に展開されたのだから。

これを更にブラッシュアップすれば、
従来の改憲論より遥かに説得力と訴求力を備えた
理論が完成するは
ずだ。

憲法改正論の「王道」としてリベラル的改憲論が
確かに存在し得る。

その事実に私も初めて気がついた。

得難い収穫だった。

ひょとすると、
今回の倉持氏の基調講演の価値に
最も気付いた1人は、
僭越ながら私かも知れない。

リベラル改憲論の誕生を祝福したい。

高森明勅

昭和32年岡山県生まれ。神道学者、皇室研究者。國學院大學文学部卒。同大学院博士課程単位取得。拓殖大学客員教授、防衛省統合幕僚学校「歴史観・国家観」講座担当、などを歴任。
「皇室典範に関する有識者会議」においてヒアリングに応じる。
現在、日本文化総合研究所代表、神道宗教学会理事、國學院大學講師、靖国神社崇敬奉賛会顧問など。
ミス日本コンテストのファイナリスト達に日本の歴史や文化についてレクチャー。
主な著書。『天皇「生前退位」の真実』(幻冬舎新書)『天皇陛下からわたしたちへのおことば』(双葉社)『謎とき「日本」誕生』(ちくま新書)『はじめて読む「日本の神話」』『天皇と民の大嘗祭』(展転社)など。

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