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倉持麟太郎
2017.11.20 02:46

護憲民主党と呼ばないでー彼らは真に何を守りたいのか

本日、代表質問が行われる。

立憲民主党と希望の党という、新しい政党の代表が初めて国会の場でそのヴェールを脱ぐまさに「第一声」だ。

とりわけ、憲法論について、いかなる第一声が聞かれるのか。

 

●立憲民主は骨太の憲法構想を打ち出せ

(1)解散権の制限はリベラルデモクラシーの発想から本当に普遍的か?

立憲民主党は、「安倍改憲に反対」としつつも、解散権の制限と臨時会の招集については検討するらしい。

そもそも、解散については、暗黙のルールとして(学説上も)大儀なき解散はNGというルールはあったが、解散ということ自体は国家が我々の民意に近づこうとする国家行為であり、その民主主義的意義を見落としてはいけないし、毀損してもいけない。

解散の民主主義的意義を論じることなく、「安倍さんが好きな時に解散しちゃうから」という理由だけでそれを縛るというのは、野党としてあまりに情けない。

 実質、恣意的な解散があるかないかに関係なく、野党議員もだいたい2年?2年半くらいの政治サイクルを前提に行動し、もっといえば、その突然の解散がありうるという前提を「言い訳」に、任期4年間をかけて行う憲法や社会保障制度についての政治改革の構想など打ち出したことなどなかったではないか。

それでいて、毎回後手後手で場当たり的に出てきた法案に反対するだけになってしまっていた。秘密保護法、安保法制、共謀罪、そして今回は憲法改正。私は、この中長期的な国家ビジョンと政治哲学的な構想の提示の欠如という意味で、野党の時間の「空費」は、罪深いものがあると思っている。

今日の朝日新聞の編集委員国分高史氏の記事でも、皮肉を込めて安倍総理は解散権の制限を改憲項目に掲げてはどうか、などと提案しつつ、安倍総理は「今回のように野党の不意を突く党利党略の解散はやりにくくなるだろう。議員は「常在戦場」などと言って選挙区に張り付くことなく、国会での質疑や政策立案に集中できる。選挙時期がはっきりするから、与野党ともマニフェストをじっくり練り上げ、堂々と有権者に問える。」と書いている。

朝日新聞の編集委員でこのレベルだから語るに落ちる。

たしかに、選挙区に貼り付けになっているという事実は厳然と存在するし、政治家の活動は盆踊りか、という錯覚にかられるときがあるほどである。

しかし、選挙区に張り付いている議員の何人が議員任期4年間をかけて日本を制度設計する構想を持っているのか。問題はそこである。政策立案やマニフェストがしっかりできていないのは、いつ解散があるのかわからないこととは関係ない。

一度でも野党が4年任期の憲法や社会保障についての極めて具体的な制度構想を打ち立てたことがあるか、私は見たことがない。もっといえば、参議院議員がいるではないか。参議院は、6年間選挙がない。政党はもちろん衆参のメンバーがいるのである。彼らからそのような中長期の制度設計を聴いたこともない。

だいたい、いつ解散があるかわからないようでは困るというような野党議員など信頼に足るのか。4年任期のビジョンを示しているからこそ、突然の解散を政策実現の観点から批判できるのではないか。立場をまったく入れ替えて考えてみたときに、果たして本当に受け入れられるものなのか、目の前の「現政権批判の道具」に堕していないか。これをもう一度厳しく問うてほしい。

法律論としては、そもそも議員の任期の固定をするのか、解散にあたっての手続きと説明責任を負わせるのか、といった点で、本当に憲法改正が必要なのか解散の手続きをいじるだけの法律論なのかといった議論枠組みも提示されていない。

(2)臨時会の召集も憲法違反の是正機能とセットで語れ

臨時会の召集についても、野党からの要求が憲法53条の要件を満たしているにもかかわらず、安倍首相によって臨時会が開かれない(無視されている)ことをもって、これについても改憲議論の対象にするらしいが、これも実に中途半端だ。

なぜなら、いくらここでの要件を厳格にしてみても、守られないときの担保がない。

たとえば、4分の1以上の要求があったときは「20日以内に召集を決定しなければならない」としたとしよう。20日過ぎても首相が臨時会を開かなかったとき、どのようにそれを強制するのか。答えは、「強制させる手段はない」である。

これを打開するのは憲法裁判所の設置だ。憲法裁判所は、憲法に書かれている規範の違反があった場合は、強制的にそれを是正することができる。

ドイツでは、名目GDPの0.35%までしか国は借金できないと憲法に規定しており(!)、もしこれをこえてしまった場合は、憲法裁判所によって無効にされる。そんな借金できないのだ。これでこそ憲法の規範力を保持する「実行力」である。

もはや、立憲主義を守るには、違憲か合憲かの基準を定めるだけではだめで、違憲のときに是正できる「実行力」とセットでなくては、意味がない。

 

憲法の価値や立憲主義を貫徹するのであれば、9条は避けて通れない。ここから逃げれば、立憲民主党は「護憲民主党」になってしまう。今日の代表質問に注目しよう。憲法の価値ではなく「憲法典」という紙束を守りたいだけなのであれば、それほど憲法を貶めていることはないのではないか。もう一歩踏み込んだ議論を期待したい。

 

●希望の党はパクリの党?

 最後に希望の党に触れると、希望の党は、最近「立憲的改憲」や「歯止めの9条」など、どこかで聞いたことのあるワードを使い始めている。これらの意味するところが不明なので、まだコメントはできないが、中長期的な国家ビジョンや政治哲学のない劣化版「立憲的改憲」が流布しないよう、これまた監視したい。どこの党でも誰が言ってもいいのだ、とにかくいいものにすることが最重要である。

 

倉持麟太郎

慶応義塾⼤学法学部卒業、 中央⼤学法科⼤学院修了 2012年弁護⼠登録 (第⼆東京弁護⼠会)
日本弁護士連合会憲法問題対策本部幹事。東京MX「モーニングクロ ス」レギュラーコメンテーター、。2015年衆議院平和安全法制特別委員会公聴会で参考⼈として意⾒陳述、同年World forum for Democracy (欧州評議会主催)にてSpeakerとして参加。2017年度アメリカ国務省International Visitor Leadership Program(IVLP)招聘、朝日新聞言論サイトWEBRONZAレギュラー執筆等、幅広く活動中。

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