ゴー宣DOJO

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小林よしのり
2018.1.13 03:47日々の出来事

経営者の優しさは報われるのか?


昨日はスタッフとの新年会があったが、経理担当者から

緊急動議が出され、「なぜ漫画をもっと描かないのか?」

と糾弾された。

 

わしは自分が社会的に注目されていたから、描いている

つもりでいた。

スタッフも描いているつもりでいたようだ。

 

ところが現在、「SAPIO」と「FLASH」で月産20枚しか

連載を持っていない。

あとは幻冬舎の描き下ろしを描いていたから、生産量が

多いと感じていたわけだ。

 

だが、描き下ろし単行本はあくまでも一か八かの博打の

世界で、漫画家の基本は原稿料だ。

原稿料でスタッフを雇っていかねばならない。

定期的には20枚の原稿料でスタッフを雇って行けるのか?

と動議が出され、当然だが全員、不可能という結論になった。

 

考えてみれば『東大一直線』の頃は、アシスタント1名で、

わしと二人で月産60枚描いていた。

このペースなら単行本は年間3冊も出て、すぐ各巻10万部

に達していたから、巨額の印税が入ってきた。

これに月刊少年ジャンプで『救世主ラッキョウ』を始めて、

月産85枚くらいを二人で描いていたのだ。

 

今年は新連載を始めるが、それでも月産44枚でスタッフ

5名を雇うことになる。

無理があるのは分かり切っている。

漫画家だったら誰でもこれではやっていけないと分かる

だろう。

しかもわしはスタッフの給料・ボーナス・社会保障までを

出費している。まるで普通の会社並みの待遇である。

スタッフを甘やかし過ぎているのだ。

 

だが実はわしは目立ってるだけで昔ほど描いていない。

これを自覚して、今年はもっと描かねばならない。

そもそもスタッフはネットで海外ドラマばっかり見て、

ペン入れに集中していないのではないか?

生産量が恐ろしく低い気がする。

 

スタッフが順番に風邪ひいて休んでいるのも、甘やか

され過ぎて、ぶったるんでいるのだろう。

わしも経営者として、社員を人間あつかいしすぎている

のだろうか?

社会にはブラック企業だらけで、人間を奴隷としか

見ていない経営者が多い時代だというのに。

小林よしのり

昭和28年福岡生まれ。漫画家。大学在学中にギャグ漫画『東大一直線』でデビュー。以降、『東大快進撃』『おぼっちゃまくん』などの代表作を発表。平成4年、世界初の思想漫画『ゴーマニズム宣言』を連載開始。『ゴーマニズム宣言』のスペシャル版として『差別論』『戦争論』『台湾論』『沖縄論』『天皇論』などを発表し論争を巻き起こす。
近刊に、『卑怯者の島』『民主主義という病い』『明治日本を作った男たち』『新・堕落論』など。
新しい試みとしてニコニコ動画にて、ブロマガ『小林よしのりライジング』を週1回配信している。
また平成29年から「FLASH」(光文社)にて新連載『よしりん辻説法』、平成30年からは再び「SPA!」(扶桑社)にて『ゴーマニズム宣言』、「小説幻冬」(幻冬舎)にて『おぼっちゃまくん』を連載開始し話題となっている。

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テーマ: ゴー宣DOJO in名古屋「人権カルトと日本人論」

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