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高森明勅
2018.2.2 22:00

自衛隊への理不尽な制約、元幹部の訴え

自衛隊に感謝し、自衛隊を大切にしたい国民は、
自衛隊に対する憲法の“縛り”をそのまま「死守」する加憲論を、
決して支持してはならない。

以下に、自衛隊への理不尽な(殆ど狂気に近い)
制約を告発する元自衛隊幹部の切実な訴えを紹介する。

防衛出動命令が出ていない状況
(平時から戦時への移行期、
即ちグレーゾーン)の場面では、
外国艦船はもとより指揮系統の違う自衛隊艦船、海上保安庁
民間の船艇を攻撃したものに反撃することはできない。

もし外国艦船を集団的自衛権で守れるようにし、
一方、
海上保安庁や民間の船艇を個別的自衛権で守れないとしたら、
これは本末転倒の話になる。

1978年に栗栖弘臣統合幕僚会議議長が
現在の自衛隊法では奇襲攻撃に手が出せないので、
その時自衛隊は超法規的行動をとらざるを得ない』
と発言し事実上解任された事例があった。

実はこのグレーゾーン問題はそれと同根である。

爾来(じらい)40年近く放置されてきたこの問題解決の前に、
集団的自衛権を云々するのは実におかしなことである」
冨澤暉氏)

「武力行使(戦闘行為)が国会承認事項であることは
多くの国で共通していますが、
緊急事態では、大統領や首相の
権限とされているのが普通です。

米国の場合…大統領の命令を待たずに処置すべき緊急事態に備え、
事前の処置要領が出されているのも、大統領の責任と権限です。
これをROE(Rule of Engagement)といいます。
すなわち交戦規定のことです。
大統領の権限は現場指揮官に委任され、
政治の決定として平時から指示されているのです。

ROEは事態によって内容が変わります。
平時には紛争拡大防止と自国の防衛、自国民の保護などを
考慮しているため、
普通は自衛のみの交戦が許可されています。

むろん、行き過ぎた武力行使は軍法会議の対象となりますが、
逆に不十分な対応も処分されます。
…奇襲を受けた場合、
大統領から現場の部隊指揮官へ
直接命令が伝わるまで、
平時から発出されている常備ROE
(SROE Standing Rules of Engagement)
により、部隊指揮官に権限を委任し、
自衛権に基づく必要な武力行使
をさせるようにしています。
これは、他の多くの国でも採用されている方法です。
防衛出動を命じられるまでは武力行使の権限が一切ない自衛隊は、
一方的に殲滅されます。

緊急事態に備えるための組織が、
緊急事態での行動基準を示されていないということです。
行動基準がない自衛隊が緊急事態に遭遇したときの選択肢は
2つし
かありません。

手をこまねいて何もしないか、
超法規的措置(つまり違法)で自衛権を行使するか。
いずれも軍事的・法的・
人道的な観点から、許されないことです」
(中村秀樹氏)

自衛隊加憲論は「戦力不保持」を維持し、
この状態を永久に固定化しようとするものだ。

それで一体、何の為の憲法改正か。

高森明勅

昭和32年岡山県生まれ。神道学者、皇室研究者。國學院大學文学部卒。同大学院博士課程単位取得。拓殖大学客員教授、防衛省統合幕僚学校「歴史観・国家観」講座担当、などを歴任。
「皇室典範に関する有識者会議」においてヒアリングに応じる。
現在、日本文化総合研究所代表、神道宗教学会理事、國學院大學講師、靖国神社崇敬奉賛会顧問など。
ミス日本コンテストのファイナリスト達に日本の歴史や文化についてレクチャー。
主な著書。『天皇「生前退位」の真実』(幻冬舎新書)『天皇陛下からわたしたちへのおことば』(双葉社)『謎とき「日本」誕生』(ちくま新書)『はじめて読む「日本の神話」』『天皇と民の大嘗祭』(展転社)など。

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