ゴー宣ネット道場

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泉美木蘭
2015.6.7 00:43

こんなことを自衛官に言える総理大臣がいるのか?

朝からフジテレビの『新報道2001』という番組を見ていたら、
海上自衛隊に初の海上警備行動が発令された、
99年の能登沖不審船事件が取り上げられていた。
実弾訓練もしたことのないまま、北朝鮮の不審船に乗り込むこと
になった場面について、当時の自衛官がこう語っていた。

「銃も持ったことない人間が、はじめて実弾を装填するんですよ」
「訓練の経験はない、しかも相手側の陣地に丸腰で乗り込んで、
待ちかまえているのは訓練された工作員です」
「120%生きて帰れないと思った」

この自衛官は、手旗信号担当の部下から
「この夜中に信号も見えないのに自分が不審船に乗り込む意味は
あるのか?」とたずねられてこう答えたという。

「正直『ないな』と思ったけど、こう言った。
いまは国民に危険の迫る国家の非常事態だ、不審船には拉致された
日本人が乗っている可能性がある。
誰が犠牲になるのか? 自衛官しかない。自分のやれることをやれ!」

すると、部下は、たった一言「ですよね」とだけ言って任務に向かった
そうだ。これを見た自衛官は、

「あいつ、『ですよね』の一言で行っちゃうんだ……と思った。
この瞬間を今でも強烈に覚えている」

と語った。
防弾チョッキも用意されていなかったため、自衛官たちは漫画雑誌
をガムテープで腹に巻き付けたのだそうだ。

その後、不審船は自衛隊を振り切って北朝鮮の港へ逃走したため
実際に乗り込むことにはならなかったが、
自衛官たちの置かれた状況や、現場での生々しい感情、覚悟が
伝わってきた。
改めて、日本の危機への認識の甘さを感じることになった。


それから、この番組を見ながら、こんなことを考えていた。
この時は「日本人が危機に陥れられているのだ」という理由で、
覚悟を決めて任務に向かおうとした自衛官だったけれど、
今後は、こうなってしまうんじゃないのか――

「いまはアメリカが戦争すると言っている世界の非常事態だ。
日本はアメリカに守ってもらわねばならない身分だから、
どうしてもこの戦争には協力しなければならない。
誰が犠牲になるのか? 自衛官しかない」

こんなことを部下に言える自衛官がいるのか?
こんなことを自衛官に言える総理大臣がいるのか?
泉美木蘭

昭和52年、三重県生まれ。近畿大学文芸学部卒業後、起業するもたちまち人生袋小路。紆余曲折あって物書きに。小説『会社ごっこ』(太田出版)『オンナ部』(バジリコ)『エム女の手帖』(幻冬舎)『AiLARA「ナジャ」と「アイララ」の半世紀』(Echell-1)等。創作朗読「もくれん座」主宰『ヤマトタケル物語』『あわてんぼ!』『瓶の中の男』等。『小林よしのりライジング』にて社会時評『泉美木蘭のトンデモ見聞録』、幻冬舎Plusにて『オオカミ少女に気をつけろ!~欲望と世論とフェイクニュース』を連載中。東洋経済オンラインでも定期的に記事を執筆している。
TOKYO MX『モーニングCROSS』コメンテーター。
趣味は合気道とサルサ、ラテンDJ。

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