ゴー宣DOJO

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泉美木蘭
2015.8.5 03:15

いざ戦争になったとき、役にも立たない人間に

「いざ戦争になったとき、なんの役にも立たない人間に、
戦争や国防について
堂々と意見を述べる権利があるのかな」

道場の前後に読んだ本や、道場での議論を通して、
ずっとこんな自己問答が、胸に覆いかぶさったままです。
道場では、小林先生が「女性の意見を聞く」とあえて宣言して下さったので、
私のなかの、ごく普通の感覚や感情を発言することができたけれど、
そうでなければ、男性の先生方や、戦争に詳しい笹さんが次々と論じて
いかれる様子を、ただただメモしながら聞いているだけ、
せいぜい、感想を述べるといった程度になったかもしれません。

ある朝、急に近所が戦場になって、死ぬ段となれば、
包丁ぐらいふりまわせると思うけど、そんなの意味なさそうだし、
武器の知識も、点滴や輸血や添え木のやり方も知らない。
体力もないし、運動神経も悪いから、避難するにしても、
見当違いの行動をして他人に迷惑をかけるかもと思う。
かつて激戦場だった場所へ渡ったこともないので、
「リアリティを持って考える」ということが甘いとも感じる。

ただ、親が子供の痛みを我が身以上に感じる感覚は知っているから、
わざわざ、無用な戦争に巻き込まれる方向へなんか舵をとらないで!
と、猛烈に思い、安倍晋三に腹が立ってしょうがない。
意見が言いたい。
でも、そんな役に立たない人間の分際で、堂々と、
もっとガッチリと自主防衛を基本に据えるよう舵を取ってほしい」
なんて、表明してしまっていいのかな…。

私の母親は、戦争モノの映画や番組が嫌で嫌で仕方ないらしく、
先日テレビで放映されていた『永遠の0』も、ちらっと見てすぐに
チャンネルを変えたと言っていた。

「岡田クンはちょっとだけ見たし、凛々しそうな姿だったけど、
こういう子たちが死ぬために突撃していく話なんでしょ?
想像するだけでかわいそうで、胸が苦しくなるから見ていられないわ。
戦争モノなんか、お母さん大嫌い!」

私は「顕彰」という感覚をゴー宣道場を通して学んだけれど、
直視できないほどの「かわいそう」を感じるがために、

『戦争モノなんか大嫌い!』と言い切る母親の感覚も、
ごく普通の善良な市民の感覚だなと思った。

泉美木蘭

昭和52年、三重県生まれ。近畿大学文芸学部卒業後、起業するもたちまち人生袋小路。紆余曲折あって物書きに。小説『会社ごっこ』(太田出版)『オンナ部』(バジリコ)『エム女の手帖』(幻冬舎)『AiLARA「ナジャ」と「アイララ」の半世紀』(Echell-1)等。創作朗読「もくれん座」主宰『ヤマトタケル物語』『あわてんぼ!』『瓶の中の男』等。『小林よしのりライジング』にて社会時評『泉美木蘭のトンデモ見聞録』、幻冬舎Plusにて『オオカミ少女に気をつけろ!~欲望と世論とフェイクニュース』を連載中。東洋経済オンラインでも定期的に記事を執筆している。
TOKYO MX『モーニングCROSS』コメンテーター。
趣味は合気道とサルサ、ラテンDJ。

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