ゴー宣ネット道場

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泉美木蘭
2015.11.21 09:01

旗日が死語になった日本

昨夜の生放送の帰り道、ふと、島根県の祖父母の家の情景を思い出した。

父の育った、祖父母の暮らす一軒家には、玄関先のポストの上には、
国旗を掲げるポケットのような金具があって、
あれはお正月だったのか、大みそかだったのか・・・祖父が天袋から
日の丸の旗を出してきて、その金具に掲げていたっけ。
いまは住宅街を歩いても、そんな金具は滅多に見かけない。
祝祭日のことを『旗日』と言っていたけど、それも死語になったと思う。
親戚、近所、身のまわりに、旗日に国旗を掲げる家はほとんどないから、
いつだかの祝日、高森先生が「朝起きて玄関先に国旗を掲揚した」という
ブログを書いておられたのが、あまりに印象的で、強く記憶に残ったほどだ。

ほかの国の人がどうなのかは知らないんだけど、
日本人は、「西洋=かっこいい」というイメージを持っているから、
トリコロール、ユニオンジャック、星条旗など欧米の強国の国旗を模した
ファッションについては気軽にお洒落なものとして身につけたり飾ったりする。
私もユニオンジャックのストール持ってるし。
私の母親なんか、赤ボディにユニオンジャックのサイドミラーとホイールの車に乗ってるし。

けれど一方で、「日の丸」については避けてしまう習性がある。
デザイナーも、日の丸のデザインはあまり作らない。

サッカーが人気になった頃、はじめて「サムライブルー」というのを知って、
「えっ、青なんだ? なんで赤と白じゃないんだろう?」
と、不思議に思ったことがあった。
これまで全然人気のなかったラグビーが突然大金星をとった途端、
一億総五郎丸社会になったので、あの、日の丸カラーのユニフォームが
売れに売れて入手困難になっているらしいけど。

私の大好きな世界的ファッションデザイナーに、川久保玲さんという日本人がいる。
彼女の手掛ける「コム・デ・ギャルソン」は、
新作を発表するたびにみんなをざわつかせる
んだけど、
ある年のコレクションで、日の丸をモチーフにしたシリーズを展開
したことがあった。

「純粋に、日本の国旗のカラーは美しいと思うので」
というコメントだけが出されたのだけど、
モデルは全員外国人で、異様に下手くそな白塗りメイクをして、頭は崩れた日本髪。
明らかに、「日本人の西洋かぶれの滑稽さ」を、逆に、西洋人を使って表現して
見せるという
ブラックジョークだった。

日本人の記者たちはこれに大混乱だった。

当時の朝日新聞の記事が、まだネットに残っていた。
川久保
から「(日の丸は)送り手も受け手も素直になれない」ものでもあるという
コメントを引き出して、
「(今回のコムデギャルソンのショーは)
日の丸や日本の美しさを安易に語ることへの
警鐘でもある。しかし最も挑戦したかったのは、批判も肯定もしにくい状況だったように
思える

という、ものすごく、噛み砕けない、意味のわからない記事…。
川久保玲氏は、言うことが哲学的すぎてコメントとるのが難しいデザイナーとして
有名なので、意味が通じるようにインタビューできる記者がすごく少ない。
だから、勝手に解釈して混乱していく雑誌や新聞がいっぱい出てくるんだけど、
日の丸については、こういった混乱が起きるということもショーのうち、と本人は
眺めていたんじゃないかと思えてきた。

他国の国旗は掲げるけど、自国の日の丸は避けたい日本人、
他国がフランスへの「追悼」のほかに、「連帯・団結」を意味して
トリコロールを掲げているのとは、ちょっと違う感覚があるような・・・
いわば、「流されてトリコロール」?
なんかアイドルの曲のタイトルみたいだな。


泉美木蘭

昭和52年、三重県生まれ。近畿大学文芸学部卒業後、起業するもたちまち人生袋小路。紆余曲折あって物書きに。小説『会社ごっこ』(太田出版)『オンナ部』(バジリコ)『エム女の手帖』(幻冬舎)『AiLARA「ナジャ」と「アイララ」の半世紀』(Echell-1)等。創作朗読「もくれん座」主宰『ヤマトタケル物語』『あわてんぼ!』『瓶の中の男』等。『小林よしのりライジング』にて社会時評『泉美木蘭のトンデモ見聞録』、幻冬舎Plusにて『オオカミ少女に気をつけろ!~欲望と世論とフェイクニュース』を連載中。東洋経済オンラインでも定期的に記事を執筆している。
TOKYO MX『モーニングCROSS』コメンテーター。
趣味は合気道とサルサ、ラテンDJ。

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