はあ。朝だ・・・。きょうは忙しかった。
夕方、店を開けに行ったら、いきなり、ひっぱってもひっぱっても
扉がびくとも開かないというハプニングが発生。
鍵は南京錠で、問題なく外れたんだけど、なにがどーなったのか、
扉そのものがピタッとはまり込んで、はめ殺し状態になっているのだ。
振動を与えてみたり、ドアにしがみついて、体重かけてぶら下がって
みたりしても全然だめ。
タクシーのおじさんが、徐行で通りすぎながら、
ヤモリのごとくドアにへばりついて暴れている私を、怪訝な顔で見ている。
途端にドアに手をつき、背筋をきゅーっと反らすポーズをとり、やり過ごした。
は、はずかしい・・・。
向かいのゲイバーの男の子を訪ねるも、買い出しで留守。
いつも開店直後に顔を出してくれるお客さんも、連休でバカンス中。
なんだか閑散としてて、通りがかりの人の姿もない。
うう、さっきのタクシー止めて、「ドア引っ張ってくれ」って頼めばよかった!
あまりに困って、噂の『カギの救急車』というのを呼んでみようかと
考えたけど、そんなの、何万とられるかわからないしなあ。
ってなわけで、いろいろ考えた末、
◎店の近所にいる人で、
◎絶対に開店から閉店まで電話の受付をしている人
◎力仕事をしている男の人
・・・・・・出入りの酒屋さんに電話。
酒屋さん、シャンパンの取り寄せでもないのに、二つ返事で
たちまち自転車に乗ってキキーーーッと駆けつけてくれて、
「大丈夫ですかーっ? ああっ、これは・・・わかりました。
ちょっと力づくでひっぱりますから、下がっててください!」
開いた!
(開店時間をとっくに過ぎているにもかかわらず、なんだか祭りがはじまった
気分になって写真を撮っている不真面目な私)
酒屋さん、助かるうう! ありがとう!
お礼を言うと、帽子をとって一礼し(こっちがお礼する立場なのに)
笑顔で自転車にまたがって、キキーーーッと帰っていった。
深夜、よそのバー店員が遊びに来たので、この写真を見せながら、
今日の『扉開かない事件』と、酒屋さんの対応について話した。
するとこんな話が返ってきた。
「そうなんだよねえ、酒屋さんって親切なんだよねえ。
うち、巨漢のお客さんが路地の奥で酔いつぶれたことがあって、
タクシーのりばまで運ぶのに難儀して、酒屋さんに電話して、
『配達に使ってるリヤカー貸してくれ』って頼んだことあるよ」
お、おい・・・。
リヤカーに至るまでに、なにをどれだけ頼んできたのか・・・。
酒屋さん、本当にありがとう・・・。