東中野で映画『マンガをはみだした男 赤塚不二夫』を観てきた。
この映画を見ると、もう、そう簡単に「破天荒」とか称せないよぉ?
その伝説は、かねがね聞き及んではいたけれど、
ここまで破天荒のスケールがでかかったのかあ。
一番驚いたのが、むかし『写真時代』のグラビアで、
荒木経惟が撮っていた赤塚不二夫の◎◎◎写真。
「こ・・・ここまでやっちゃってたの!?」って度肝抜かれた。
あの号、もし古本屋に出てたら、私、手に取ってしまうもんね。
絶対ビニールで綴じられてて見られないと思うけど。
世間体にまったく縛られない「ルール破りのプロ」。
生涯それを突き通してしまう、それでも許されてしまう才能の凄さ。
そりゃ自己破壊的で、破滅的でもあるし、
最後はアル中になって、財産どんどん吸い取られちゃって、
ああー、言わんこっちゃないよ・・・と思うんだけど、
あまりにも徹底して破天荒をやり切ってしまうから、最後には、
「これでいいのだ」
この言葉が効いてきて、
そんな生き方に憧れる気持ちが生まれてしまうという。
全編に面白いエピソードがちりばめられていて、
思わず爆笑してしまうシーンがちょいちょいあった。
ネタに困って、アシスタントだった古谷三敏から出たアイデア
『真夜中の停電』というギャグは、やたらツボにはまってしまった。
先日の『胴全体がガン』ぐらい、じわじわ引きずるかもしれない・・・。
後半の、のんべえ時代には、うちの店がけっこうしっかり出てきて
嬉しかった。
漫画そのものが知識人からバカにされて悔しい思いをしていた
赤塚不二夫が、ピカソの「ゲルニカ」を見て、
「なんだ、ピカソって漫画じゃないか!」
と大喜びしたというエピソードは心に残ったなあ。
上映後は、東中野から神田川沿いをゆっくり散歩して、
上京して初めて住んだ大久保のマンションを見に行った。
この最初の部屋が一番家賃高かったな。ここで会社やってたから。
捨て猫をもらった動物病院は、ずいぶん古ぼけたけど、まだやっていた。
出前やってるのに日本語がまったくできない台湾人しか電話に出なくて、
結局いつも「いいです、行きますから!」と電話を切って、店まで食べに
行っていたラーメン屋も、そのままだった。