ゴー宣ネット道場

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泉美木蘭
2016.5.30 03:00

なにを「きちんと報じてほしい」?

SNS内で、「沖縄の米国人たちの真心に感動!」というコメントと
ともに変な写真を大量に紹介している人物の投稿が流れてきて、
ギョッとした。
沖縄県内のある教会の米国人(米軍人やその家族)ら約100人が、
『沖縄と共に悲しんでいます #PrayForOKI』
と書かれたプレートを首からぶら下げて国道に並び、通過する車に
向かってお辞儀をしている、と。



(『ネイバーフッドチャーチ沖縄』の公式Facebookページより)


この写真の紹介者は、沖縄在住・・・の人物の友達である、千葉県
在住の人物で、
(現実の友達なのか、Facebookの《トモダチ》なのかは不明)
投稿には大勢からの「いいね!」がついていた。

ほかにも、この行動を取り上げる「まとめサイト」や、
「1分で感動できる
サイト」などが、小銭稼ぎのアフィリエイターの
手によって例のごとく乱立。

「アメリカ人と家族になっている沖縄県民も大勢いる。
たぶん親戚に1人や2人いるのはごく普通。
ハーフの子供はいじめられるのはもう当たり前過ぎる」

「感動しました。悪いのは殺人犯であって、アメリカ人じゃない。
こうして頭を下げている人達の姿を見ると、胸が痛みます。
沖縄の『米軍出ていけ』という声だけを報じるのはおかしい。
こういった事実を、メディアはきちんと報じてほしい

って、報じるわけないでしょ! あんたスマホやりすぎ!
感動しました、って、精神的に油断しすぎですよ。
宗教をどうこうは言わないけど、
ごく一般の人が、ごくフツーに、街中でこの光景と出会ったら、
まず、《異様さ》を感じて、尻目に通り過ぎるのが普通の反応だと
思うけど。
ネットを介すると、そんな感覚もわからなくなって、
『感動した!』『いいね!』『もっと広めよう!』
となってしまうのか。
「たかがSNS」と思う部分はあるけど、ここまで感覚を侵食されて
いる人達を見ると、この先どうなるのかと背筋が凍る。

・・・と思いつつ、この数日の朝日新聞の「オバマ・フィーバー」の
凄まじさを思うと、どさくさまぎれに報じかねないと不安にも思って、
念のため今朝の朝刊を再度確認したけど、やっぱり載ってなかった。
はぁ、よかった。

と、思ったら、朝日新聞が母体のブログメディア『ハフィントンポスト』で、
このお辞儀行列が、「胸が痛む」「いい人もたくさんいる」とネットで反響
を呼んでいると紹介している執筆者がいた。

私がきちんと報じてほしいのは、
沖縄の元米兵による女性強姦惨殺事件の続報のほうです。
事件はいったいどこへ行ってしまったんだ。

昨夜も師範方との打ち合わせを終えて帰宅し、テレビをつけたら、
まだ広島訪問の余韻に浸った番組をやっていた。
骨の髄まで感動し尽くしてどうするんだ。
そんな感動、安っぽく薄っぺらい快楽だとそろそろ気づけよ!

あっ、今日、ライジングのしめきりだった。

泉美木蘭

昭和52年、三重県生まれ。近畿大学文芸学部卒業後、起業するもたちまち人生袋小路。紆余曲折あって物書きに。小説『会社ごっこ』(太田出版)『オンナ部』(バジリコ)『エム女の手帖』(幻冬舎)『AiLARA「ナジャ」と「アイララ」の半世紀』(Echell-1)等。創作朗読「もくれん座」主宰『ヤマトタケル物語』『あわてんぼ!』『瓶の中の男』等。『小林よしのりライジング』にて社会時評『泉美木蘭のトンデモ見聞録』、幻冬舎Plusにて『オオカミ少女に気をつけろ!~欲望と世論とフェイクニュース』を連載中。東洋経済オンラインでも定期的に記事を執筆している。
TOKYO MX『モーニングCROSS』コメンテーター。
趣味は合気道とサルサ、ラテンDJ。

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