ゴー宣ネット道場

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泉美木蘭
2016.5.31 15:30

夜の民主主義という病いくん劇場

「なあ、もくれん、今日はおまえの誕生日だ。シャンパンを楽しもう」
民主主義という病いくんったら、とっても物知りで、なんでも頭に入り
やすいようわかりやすく語ってくれて、私、すっかり虜になってしまったの。



そこへ、

ぴんぽーん♪

誰かが訪ねてきたの。こんな夜中に誰だろうって、わたし、
インターホンの画面をのぞいたの。そして、凍りついたわ。


「誰かしら? ・・・・・ハッ!

こ、このフォルム。
モニター越しでもわかったわ。
そう、トリコールのカラーリングと、あの金のズボン・・・。

「おい、もくれん、誰だよ?」
「い、いいのよ、なんでもないの」
「そんな慌てておかしいじゃないか。どうした、俺が出てやろう」
「だめ! だめよ! ねえ、やめて!」

「お、おまえ・・・一体、誰だ?」
「民主主義という病いだ。おまえこそ誰なんだ!」
「民主主義という病いだ! ここで何してる!」

「ああっ、民主主義という病いくんと、遅れてきた民主主義という病いくん!
やめて、ねえ、ふたりとも。これには理由があるのよ・・・」

「関係ねえっ!」
「やめてーーーーーーーーーーーっ!」

「俺が民主主義という病いだーーーーっ!」

「俺だって民主主義という病いだーーーーっ!」

「日本は民主主義という病いだらけだーーーーーーっ!」

「ふたりともっ、お願い、もうやめてーーーーーっ!
これには理由がっ。もともとうちにいた民主主義という病いくん、
あなたは一昨日、幻冬舎の志儀さんに速達でここへ送られた
民主主義という病い。
そして、遅れてきた民主主義という病いくん、あなた・・・なぜ・・・」

「・・・そうさ。長い旅だった。
俺は、先週の水曜日に幻冬舎を旅立った民主主義という病い。
しかし、手違いで・・・もくれん、おまえの以前のアパートを訪ねて
しまったのさ。慌てたよ。いまも凄いが、以前のアパートも凄いな。
さまよいさまよった俺は、一度幻冬舎に戻り、そして、きのう、
再びこの住所を教わって訪ねなおしたってわけさ。
しかしもう遅かったようだな。
おまえのもとには、もうこんなに立派な民主主義という病いが・・・」

だって・・・だって、私、待てなかったのよ・・・。打ち合わせの席で、
読んでいないの私だけで・・・早く会いたいばっかりに・・・。
ごめんなさい、民主主義という病いくん・・・」

「いいのさ。俺にはまだまだ行くべき場所がある。
俺を待っているのは、なにもおまえだけじゃないんだ。
じゃあ、俺は行くぜ」

「ちょ、待てよ!」

「民主主義という病い、おまえにそんな事情があったとは知らなかった。
しかし、こうして命をかけて張り合ったんだ。いいじゃないか。
一杯やろう。今夜はじっくり、語り合おうじゃないか。
もちろんおまえのなかにもあるんだろう?
『カフェ・ド・フロール』の、あの時間が」

「ああ、俺もおまえも、同じ『民主主義という病い』だからな」

こうしていま、わたしは2冊の民主主義という病いくんとともに、
過ごしているのです。

―完―

泉美木蘭

昭和52年、三重県生まれ。近畿大学文芸学部卒業後、起業するもたちまち人生袋小路。紆余曲折あって物書きに。小説『会社ごっこ』(太田出版)『オンナ部』(バジリコ)『エム女の手帖』(幻冬舎)『AiLARA「ナジャ」と「アイララ」の半世紀』(Echell-1)等。創作朗読「もくれん座」主宰『ヤマトタケル物語』『あわてんぼ!』『瓶の中の男』等。『小林よしのりライジング』にて社会時評『泉美木蘭のトンデモ見聞録』、幻冬舎Plusにて『オオカミ少女に気をつけろ!~欲望と世論とフェイクニュース』を連載中。東洋経済オンラインでも定期的に記事を執筆している。
TOKYO MX『モーニングCROSS』コメンテーター。
趣味は合気道とサルサ、ラテンDJ。

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