ゴー宣ネット道場

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泉美木蘭
2016.12.21 17:21

現実と乖離しすぎの男尊女卑議員と、現実の若者

今週のライジング「『政治分野の男女共同参画推進法』は必要」を読んで、
自民党の男尊女卑議員らのひどい物言いに頭がくらくらしました。
とくに西田昌司参院議員の発言。

「女性の社会進出で、社会全体が豊かになっているとは思えない。もっと
根本的な議論をしてほしい」

「男女が違うから、認め合って引きつけ合って子供を作り、家庭を作り、
次の世代ができて、社会が築かれる。この当たり前のことを大事にすべきだ。
あまり同質化すると、お互いにないものを認め合って助け合うという意識は
少なくなり、結婚や家庭を作らなくてもいい、となってしまう。こうした風潮は
晩婚化の一因ではないか」
西田昌司議員は、以前、婚外子の相続権に関する議論のときに、
地上波のテレビ番組で

「ちゃんとした家庭で、ちゃんとした子供を作るから、ちゃんとした日本人が
できて、国力につながる」

というようなことを言って、婚外子を差別しまくった人です。
この理屈で言えば、彼にとっては、働く女性や、婚期を逃がした女性は、
ちゃんとした女性ではないし、ちゃんとした日本人じゃないのでしょう。
ちなみに竹田恒泰氏も同じ立場で差別観を後押ししていました。

子供を作り、家庭を作り、次の世代ができて、社会が築かれるというのは
みんな知っているけれど、その当たり前のことが、いまの
経済状況では、
できなくなっているのが問題の根本なわけでしょう。
自分ひとりの食い扶持を築くので精一杯だと感じる若者が大勢いるのに、
そこを無視して、いつまで時代錯誤なことを言っているの?

以前、ライジングでも生涯未婚男性の状況について取り上げたけど、

泉美木蘭のトンデモ見聞録 『男女不平等。僕らは結局稼ぎで選ばれる』
http://ch.nicovideo.jp/yoshirin/blomaga/ar1039228

国立社会保障・人口問題研究所の出生動向基本調査によると、
18歳から34歳の未婚男女へのアンケートでは、
9割近い男女が「結婚したい」と考えており、
結婚した夫婦の理想的な子供の人数は「2人以上」と考えている
という結果が出ています。

「夫婦にとっての理想的な子どもの人数は何人か」という質問には、
「2人」が48.2% 「3人」が39.6%。
多くの人は、結婚して子供を2人か3人持ちたいと考えている
しかし、現実の出生率はその理想におよばない。
それはなぜなのかを、
妻が30歳未満の夫婦に聞いてみると、

「子育てや教育にお金がかかりすぎるから」 83.3%

これが圧倒的な理由なのです。
妻が産みたがらないのでも、妻が自分のために働くからでもないのです。

さらに、今年9月にまとめられた最新の調査を見てみました。
この調査の中では、若者の恋愛事情や性体験事情もデータとして明らかに
なっているから、みなさん見てみるとよいですよ。
調査では、未婚女性が「結婚後の理想の形」と考えている生き方は、

「専業主婦」を望む人は年々減って、18.2%
「再就職」(結婚後、出産のため一時退職し、その後また働く)が34.6%
「両立」(結婚後、子供を生むが、仕事もつづける)が32.3%

ほとんどの人は、夫に養ってもらって生きていけるとは思っていません。
子供を産んで、生活や教育のためにお金が必要だろうから外に出て働いて、
家事も子育てもやっていこうと考えている女性が7割近いのです。
当然、彼女たちは納税もします。
これ、女性のわがままですか?

ただただ「女なんか社会に出すな」というとんでもない男尊女卑感情を
公共の場でまき散らしている自民党議員たち、
もう少し現実の社会に生きる人々の姿をきちんと見てほしいです。

わたしは「草食系男子」のブームが起きた時は、なんだか情けない男たち
だなあという感想だけで見ていました。
傷つきたくないから戦いたくないってこと? 男らしくないなあ、と。
でも、最近は、あれは日本社会に起きていく非婚現象の表出の最初の一歩
だったのかもしれないと考えるようになりました。
男性にしてみれば、自分ひとりの生活だけでも大変で、貯金もあまり増えず、
夢も持てない状態で、雇用形態も不安定かつ苛酷だとくれば、
自己肯定感が薄まって、劣等感ばかりが募ってしまう人も多いのではと想像
します。
自信喪失状態が慢性化してしまって、恋愛や結婚のレールには背を向けて
自分から遠ざかることで自分をかばってしまうのかもしれません。
こういう言い方をしていいのかわかりませんが、女性に比べて、男性は、
臆病な脆さを抱えてしまう性質があるように私には感じますから、
こういった社会状況下では「草食系」「干し草系」(もう恋愛あきらめて悲観も
しなくなった人のことだって)と言われるタイプの男子が増殖し、
その一部が、たまたまお洒落で、メディアに取り上げられるというのも必然の
現象なのかも、と。

さらに、自信喪失状態の慢性化は、自己承認欲求の肥大化現象とも繋がり
のある心理状態だとも思います。

男尊女卑脳の議員たちは、恋愛から遠ざかっていく若者たち、とくに男性の
ことを、どう理解しているんでしょう。
女性が社会進出をやめれば、男性たちはどんどん結婚して子供を作ろうと
するはずだと考えているのでしょうか。

泉美木蘭

昭和52年、三重県生まれ。近畿大学文芸学部卒業後、起業するもたちまち人生袋小路。紆余曲折あって物書きに。小説『会社ごっこ』(太田出版)『オンナ部』(バジリコ)『エム女の手帖』(幻冬舎)『AiLARA「ナジャ」と「アイララ」の半世紀』(Echell-1)等。創作朗読「もくれん座」主宰『ヤマトタケル物語』『あわてんぼ!』『瓶の中の男』等。『小林よしのりライジング』にて社会時評『泉美木蘭のトンデモ見聞録』、幻冬舎Plusにて『オオカミ少女に気をつけろ!~欲望と世論とフェイクニュース』を連載中。東洋経済オンラインでも定期的に記事を執筆している。
TOKYO MX『モーニングCROSS』コメンテーター。
趣味は合気道とサルサ、ラテンDJ。

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