ゴー宣ネット道場

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泉美木蘭
2017.7.18 05:34

「安倍インタビュー」を今年度最高と自薦する読売新聞

日本新聞協会の今年度の新聞協会賞候補作が発表されていると知り、
興味を持って見てみた。
毎年、各社が今年度のスクープ記事の中から自薦するものらしい。

平成29年度 新聞協会賞 編集部門応募作品

一部抜粋すると…


〇朝日新聞
森友学園、加計学園をめぐる一連の報道

〇東京新聞
「テロ等準備罪」原案にテロ表記なしのスクープ

〇大分合同新聞社 
「別府署隠しカメラ事件」のスクープ 

〇日本経済新聞社 
ヤマト運輸の値上げ

〇NHK
安倍首相真珠湾訪問のスクープ 
秋篠宮ご夫妻の長女の眞子さま同級生と婚約へのスクープ 

〇読売新聞
「憲法改正2020年施行、9条に自衛隊明記」安倍首相インタビュー
のスクープ 


…え!

読売新聞には、心底あきれた。
自社が自薦する「今年度最高のスクープ」が、あの安倍首相の
インタビュー記事だと堂々と胸を張って言っているのだ。

国会で首相から「読売新聞を熟読していただきたい」などと
言われて、
そんなに嬉しかったのか? 誇りに感じたのか?
政府の広報紙扱いされたことを、そんなに自慢できると思って
いるのか?

メディアとしてのプライドのなさに、もう目も当てられない。

しかもこれって「スクープ」なのか。
読売新聞は、前川喜平氏の出会い系バー通いの記事を掲載するなど、
官邸と密着して、
権力に歯向かう人間の人格攻撃に手を染めている
ことがもう明らかになっている。
ただ権力に擦り寄って、お口を開けて、ネタを貰っているだけじゃ
ないか。

大分合同新聞社の「別府署隠しカメラ事件」スクープのように、
記者の地道な努力で発掘し、報道に足る証拠を集めて報じられ、
共謀罪の議論とともに、社会問題として衝撃を投げかけた記事とは
まったく質が異なる。
読売新聞は「権力の監視」というメディアの役割を完全に見失った。

一国の最高権力者が、特定のメディアに登場することについて、
もっとピリピリとした空気で考え直さなければならないと思う。

以前、ゴー宣道場にゲスト登壇されたジャーナリストの青木理氏が、
記者クラブは批判の対象になっているが、もともとはメディアどうし、
権力者との距離をお互いに監視しあって均衡を保つという、
権力とメディアの癒着を防ぐ防波堤の役割があった、と語っていた。

しかし最近では、担当する政治家の出世は、その政治部記者の出世と
つながっているらしい。
だからあっさり権力に取り込まれて、簡単に萎縮する。
お行儀のよい質問しかできない。

今村元復興大臣をキレさせたのは、フリーの記者。
菅官房長官にボロを出させたのは、普段は部外者の社会部記者。
会見場での「質問内容の事前通告」「質問は一人3回まで」という
“暗黙のルール”を知らずに、質問しまくったからこその出来事だった。

こう支持率が低下すれば、いよいよ政治部記者も萎縮する意味がなく
なって
強気になるのだろうけれど(産経と読売以外)、
そもそも記者が支持率に左右されて態度を決めていたのでは困るよ。
この件に関しては、アメリカがうらやましい。

泉美木蘭

昭和52年、三重県生まれ。近畿大学文芸学部卒業後、起業するもたちまち人生袋小路。紆余曲折あって物書きに。小説『会社ごっこ』(太田出版)『オンナ部』(バジリコ)『エム女の手帖』(幻冬舎)『AiLARA「ナジャ」と「アイララ」の半世紀』(Echell-1)等。創作朗読「もくれん座」主宰『ヤマトタケル物語』『あわてんぼ!』『瓶の中の男』等。『小林よしのりライジング』にて社会時評『泉美木蘭のトンデモ見聞録』、幻冬舎Plusにて『オオカミ少女に気をつけろ!~欲望と世論とフェイクニュース』を連載中。東洋経済オンラインでも定期的に記事を執筆している。
TOKYO MX『モーニングCROSS』コメンテーター。
趣味は合気道とサルサ、ラテンDJ。

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