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高森明勅
2018.6.21 07:00政治

北朝鮮の「非核化」は実現するか?

先頃の米朝首脳会談では(北朝鮮ではなく)
朝鮮半島の「非核化」で合意した。
 
では北朝鮮の非核化は本当に実現するのか。
 
彼らはリビアの独裁者、カダフィの末路を見ている。
 
ならばどう判断するか。
 
殆ど自明だろう。
 
「リビアの核開発が道半ばだったのに対して、
北朝鮮は完成された核兵器やミサイル、
さらには化学兵器と生物兵器を保有している。
それにリビアと違って、北朝鮮にはソウルという
魅力的なターゲットがミサイル射程内に存在する」
 
「リビアで起きたことを考えれば、
たとえ口頭と文書の両方で保証を得ても、
北朝鮮にとっては核兵器を手放す十分な理由にならない」
 
「カダフィが03年に最も重要な武器を放棄したとき、
ジョージ・ブッシュ米大統領(当時)は、
リビアの『誠意は報われるだろう』
と述べた。
 
それから8年間、欧米諸国はカダフィを褒めそやし、
経済的にもリビアを支援した。
 
…ところが11年に『アラブの春』が起きて、
リビアでも民主化運動が起きると、
欧米諸国は人道的理由を口実にカダフィ体制を
転覆する作戦を支援。
かつて絶対的指導者だったカダフィは、
無残な死に姿を世界中にさらされた。
北朝鮮政府はそれをちゃんと見ていた。
そして自明の結論を導き出した」
 
「リビアの経験から、
『核を持っているなら絶対に手放すな。
持っていないなら手に入れろ』という教訓を得た」
 
「北朝鮮から見れば、カダフィは核とミサイルを
放棄したせいで、アメリカの裏切りから自分を守る
ことができなかった」
 
「核を放棄すれば、いずれ軍事的に攻撃されるー。
北朝鮮はリビアを見てこのことを確信した。
だから金(正恩)にとって、核という最強の抑止力を
手放すべき理由は決して存在しないのだ」
(ケイトー研究所上級研究員、ダグ・バンドー)
 
そう考えるのが常識的だろう。
 
表面上はどんな茶番劇が演じられていてもー。
高森明勅

昭和32年岡山県生まれ。神道学者、皇室研究者。國學院大學文学部卒。同大学院博士課程単位取得。拓殖大学客員教授、防衛省統合幕僚学校「歴史観・国家観」講座担当、などを歴任。
「皇室典範に関する有識者会議」においてヒアリングに応じる。
現在、日本文化総合研究所代表、神道宗教学会理事、國學院大學講師、靖国神社崇敬奉賛会顧問など。
ミス日本コンテストのファイナリスト達に日本の歴史や文化についてレクチャー。
主な著書。『天皇「生前退位」の真実』(幻冬舎新書)『天皇陛下からわたしたちへのおことば』(双葉社)『謎とき「日本」誕生』(ちくま新書)『はじめて読む「日本の神話」』『天皇と民の大嘗祭』(展転社)など。

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