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小林よしのり
2018.9.25 12:25日々の出来事

東京新聞、ラトビア記事の異様さ

東京新聞の今朝の記事を読んで、呆然とした。
「ラトビア『差別ない』」「女性医師率1位 70%超」
「『男性増やそう』の議論起きず」「日本は20%、34
ヵ国中最下位」と見出しでたたみかけている。
いかにも日本の医療業界は、女性差別をしていると
誤解を生む記事である。
典型的な「海外出羽の守」の記事である。
海外にユートピアがあると妄信する記事だ。

ところが「外科の男女比は73%、27%と、男性が
多くなるのはラトビアも日本も同じ」だと書いている
のだ!

ラトビアでは「医学部進学の段階から、女性は七割を
占める」らしい。
それだけ女性の医師志望の多い国でも、外科医に限っ
ては、自然に男性が73%になってしまっている。
ラトビアでは、外科医は女性に圧倒的に人気がない
職業なのだ!

なのに、記事中では、「男性の外科医を増やそうとする
意図や、外科医不足の懸念は特にない」と書いている。
当たり前だ。
女性には人気のない外科医だから、男性が73%にも
なって充填されているのだ。
これ以上、男性外科医を増やす必要なんか全然ない!

バルト三国はもちろん旧共産圏で、男女平等原理主義も
浸透していただろうが、エストニアなども、ロシアから
離脱した今の国情は相当に不安定で、男性の自殺率が
増えて、女性の人口の方が多く、女性も志願兵で国防に
参加している。

記事によると旧共産圏の国々は「西欧や米国に比べて
医師の給与が低く、社会の平均給与レベルに近い。
男性の人気の職業になりにくい」そうだ。
つまり、ラトビアでは医者のステータスが低く、給与
が低いから、男性はなりたがらないわけだ。

一体、ラトビアまで行って、この記者は何を見て来た
のだろうか?
東京新聞や朝日新聞が、男女平等原理主義の極左で
あることは知っている。
だが、極左の目から現実を見れば、こうも歪んだ解釈
になるのかと、驚嘆する。

日本で問題なのは、入学の段階で、男女平等に合格
させたら、女性が外科医を敬遠して、「外科医」が
足らなくなるのではないか?という懸念である。

東京新聞の記事で、男女平等にしても、女性が外科医
を避けるという現実は証明された。

では、男女平等原理主義者たちは、ラトビアのように、
給与を下げて、医師のステータスを下げて、女性の
医師志願者を増やせば、たとえ女性が外科医を敬遠
しても、3K仕事の外科医には男性が来るさという
考えなのだろうか?

日本では医師のステータスが高く、テレビドラマを
見ていても、外科医はヒーローのように描かれる。
ブラックジャックだって、ドクターXだって、
外科医はヒーローで高給取りだから、男性が目指す
のだろう。
外科医のような技術職で、リスクの高い職業は、
給与が高くて当然じゃないか。

そもそもラトビアでは、患者から見たら、安心できる
医療を受けられているのか?
日本では、無駄に生き延びるためだけの延命治療や、
患者がわがまま放題に医者を侮蔑する現実もある。
「生命至上主義」は、わしも大嫌いで、「安楽死」を
合法化して欲しいと願うのだが、同時に救出すべき
命や身体は、全力で救って欲しい。

外科医はやはり、ヒーローであって欲しいと、わしは

思っている。

小林よしのり

昭和28年福岡生まれ。漫画家。大学在学中にギャグ漫画『東大一直線』でデビュー。以降、『東大快進撃』『おぼっちゃまくん』などの代表作を発表。平成4年、世界初の思想漫画『ゴーマニズム宣言』を連載開始。『ゴーマニズム宣言』のスペシャル版として『差別論』『戦争論』『台湾論』『沖縄論』『天皇論』などを発表し論争を巻き起こす。
近刊に、『卑怯者の島』『民主主義という病い』『明治日本を作った男たち』『新・堕落論』など。
新しい試みとしてニコニコ動画にて、ブロマガ『小林よしのりライジング』を週1回配信している。
また平成29年から「FLASH」(光文社)にて新連載『よしりん辻説法』、平成30年からは再び「SPA!」(扶桑社)にて『ゴーマニズム宣言』、「小説幻冬」(幻冬舎)にて『おぼっちゃまくん』を連載開始し話題となっている。

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テーマ: ゴー宣DOJO in名古屋「人権カルトと日本人論」

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