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高森明勅
2018.9.29 13:14皇室

岡野友彦教授から

日本史学者で皇學館大学教授の岡野友彦氏。
 
先日、わざわざご高著『源氏長者(げんじちょうじゃ)
―武家政権の系譜』(吉川弘文館)をご恵送戴いた。
 
だが、同氏と面識はあるものの、
互いに著書を贈り合うほど親しくない。
 
どうした事かと首を傾げた。
 
「あとがき」を読んで理由が分かった。
同著は同氏の旧著『源氏と日本国王』(講談社現代新書)
を大幅に書き換えたものらしい。
 
今から15年も前の著書だ。
 
それが刊行された時、妙な経緯から、
私がコテンパンに批判した事がある。
 
同氏ご自身が、新著の「あとがき」に
「(旧著は)勢いに任せて思いのままを
書かせてもらった以上、『論理の飛躍』などあたりまえ」と書かれている位だ。
 
まだ年齢が40代半ばで、血気盛んだった私が、
情け容赦なく批判したのも、やむを得ない。
 
勿論、そのせいばかりではないだろうが、
同氏は旧著を「実は『なかったことにしたい』作品』」
「完全に『終わった仕事』と考えていた」とか。
 
同「あとがき」には、私からの批判にまで、
フェアに言及して下さっている。
 
「(新著で全面的に改稿した1つは)中世日本の
『国家主権』という概念についてである。
…『社会の多元的構成と政治の一元的統合の欠如を
特色とする封建社会の分析に、主権なる制約なき権力形態を
適用しようとすること自体、甚だしい時代錯誤ではなからうか』
という高森明勅氏のご批判
(『月曜評論』2004年3月号)は誠にごもっともであり
…問題の本質は…そもそも中世・近世の『王権』の所在を、
幕府か朝廷か、天皇か将軍かという二者択一で議論してきたことそのもの」と。
 
まことに光栄だ。
 
同氏が、長く見逃されがちだった「源氏長者」
という地位の歴史的な意義に注目されたのは、
私ごときが殊更言う迄もなく、
 
十分に学術的な価値を持つ。
 
但し旧著では、せっかく重要な着眼点を見付けられながら、
それを禁欲的に実証と論理でキッチリ突き詰めるという、
学問としては王道の手順を、丁寧に踏まれていなかった
ように見えた。
 
だから私は、
「岡野氏の新説にはなほ説明が尽くされて
ゐない点が多く、あまつさへ自家撞着も少なくないやうに見える」
などと、生意気な事を書いた。
 
新著では、かつての欠点を、
どう克服されているだろうか。
 
これから拝読し、改めて学ばせて戴きたい。
高森明勅

昭和32年岡山県生まれ。神道学者、皇室研究者。國學院大學文学部卒。同大学院博士課程単位取得。拓殖大学客員教授、防衛省統合幕僚学校「歴史観・国家観」講座担当、などを歴任。
「皇室典範に関する有識者会議」においてヒアリングに応じる。
現在、日本文化総合研究所代表、神道宗教学会理事、國學院大學講師、靖国神社崇敬奉賛会顧問など。
ミス日本コンテストのファイナリスト達に日本の歴史や文化についてレクチャー。
主な著書。『天皇「生前退位」の真実』(幻冬舎新書)『天皇陛下からわたしたちへのおことば』(双葉社)『謎とき「日本」誕生』(ちくま新書)『はじめて読む「日本の神話」』『天皇と民の大嘗祭』(展転社)など。

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