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高森明勅
2018.10.10 13:35皇統問題

小田部雄次氏の講演

10月9日、第3回立憲民主党
「安定的な皇位継承を考える会」に参加。
 
今回は、近代皇室史研究の第1人者で
静岡福祉大学名誉教授の小田部雄次氏による講演。
 
主な内容は、皇室存続の危機を打開する為に
従来提起されてきた「解決案」を3つ取り上げ、
その問題点を検証するというもの。
 
その3つとは以下の通り(同氏の表現による)。
 
1、旧皇族の子孫の男子を皇族に復帰させる案。
2、女性天皇を認める案。
3、内親王・女王と旧皇族の男子を結婚させる案。
 
A4版8ページの充実したレジュメを用意されていた。
 
注意すべき発言をいくつか紹介する。
 
「〔1については〕具体的論議がないまま、
…現在では皇族女子との婚姻で復帰させようとの考え
〔つまり3〕に変わっていった」
 
「〔占領下に皇籍離脱した〕旧皇族家の若い男子は
皇族でなくなってすでに3世代目の世代であるし、
戦後の離脱がなくても戦前の内規〔大正9年、皇族の
降下に関する施行準則〕ですでに降下していた世代である。
その世代を特別に扱うと、すでに離脱している
旧皇族家の子孫(たとえば戦前に臣籍降下した
山階家など)との違いが曖昧になる」
 
「旧皇族という立場を特別に扱うと、日本国憲法
第14条2項『華族その他の貴族の制度は、これを
認めない』に抵触する」
 
「世襲という意味で、天皇家との血筋を重視するので
あれば、〔それらの〕旧皇族よりも血縁関係の近い家は
100家近くある。
というのは、旧皇族は幕末の伏見宮邦家を祖とするが、
その天皇家とのつながりは南北朝時代の北朝3代の
崇光天皇(1398年崩御)まで遡る。
より近親では江戸時代の107代後陽成天皇
(1617年崩御)および113代東山天皇
(1709年崩御)がおり、その子孫は、花園・梶野
・徳大寺・高千穂・住友・室町・東儀・近衛など
100家以上にもおよぶ。
そして旧皇族の近親度はその100番目に近い」
 
「旧皇族は戦前にても皇位継承者としては
期待されていなかった面が強い」
 
「〔戦前の〕傍系の皇族は、膨大になった皇室の義務
(軍務・外交・行啓・儀式など)を担う存在としての
価値が高かった」
 
「旧皇族の子孫の某氏は『明治天皇の玄孫』を
自称するが、それは明治天皇の内親王の子孫で
女系という意味である。
男系論者の某氏があえて女系の系統を主張するのは、
某氏も明治以後の皇統の子孫であることが多くの国民の
支持をえられるという意識があるからだろう」
 
「この10年ほどの男系論者たちの言動を
つぶさにみるに、底流には今の皇室の
『国民とともに歩む』ソフトな路線への反感に
根差す要素も多く…皇室がかつての大日本帝国時代
のような姿になってほしいという理念が、
女性天皇否定となって現れている様相もある」
 
― 旧宮家系男性が、そのまま新たに皇籍取得する事を
可能すべしとの主張は、既に余り見られなくなっている
との認識を示された。
 
それに代わって、内親王・女王方とのご結婚による
皇籍取得を主張するようになっている、と。
 
勿論、その場合も皇室典範の改正は必要だ。
 
それにしても、他人(内親王・女王方及び旧宮家系男性)
の掛け替えのないたった一度だけの人生を、
あたかも将棋の駒のように、自分の都合の良いように
扱おうとする発想の異常な不遜さを、それを唱える
本人達は自覚していないのだろうか。
高森明勅

昭和32年岡山県生まれ。神道学者、皇室研究者。國學院大學文学部卒。同大学院博士課程単位取得。拓殖大学客員教授、防衛省統合幕僚学校「歴史観・国家観」講座担当、などを歴任。
「皇室典範に関する有識者会議」においてヒアリングに応じる。
現在、日本文化総合研究所代表、神道宗教学会理事、國學院大學講師、靖国神社崇敬奉賛会顧問など。
ミス日本コンテストのファイナリスト達に日本の歴史や文化についてレクチャー。
主な著書。『天皇「生前退位」の真実』(幻冬舎新書)『天皇陛下からわたしたちへのおことば』(双葉社)『謎とき「日本」誕生』(ちくま新書)『はじめて読む「日本の神話」』『天皇と民の大嘗祭』(展転社)など。

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