ゴー宣DOJO

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笹幸恵
2018.12.10 17:29日々の出来事

補足。

倉持師範に「人権」と「表現の自由」について
問うたブログで、「何の話かわからない」という
ご指摘を第三者からいただきました。
説明不足ですみません。

というわけで、あらためて説明したいと思います。
11月27日にヤフーニュースにアップされた記事
ネット右翼に法的措置は有効か?倉持麟太郎(弁護士)×古谷経衡(文筆家)Part1
があります。
ここで、倉持師範はこう語っています。

「『新潮45問題』なんか、あれ表現の自由ではないですよね、
営業の自由です。営業利益を追求していた工場が工場排水
垂れ流していたら、廃業になりますよね?
『新潮45』は表現の自由の看板をかけた
営業の自由なんです、それが少数者の権利を
深刻に傷つけたので当然に廃業です。
これを「雑誌がなくなることの損失」なんて
言っている人間は、今まで自分はそこまで考えて
表現の自由を行使していたのかと、問いたいですね」

その後、よしりん企画のみなぼんが
この記事について違和感を表明しました。

「ヘイトスピーチを法規制」は大丈夫?

これに対する返信ブログの中でも、倉持師範は
「新潮45が売上のためだけにあんな差別的な
特集組んでるのが許されるわけないでしょう」
と述べています。

表現の自由を軽く見過ぎているのか?

つまり、『新潮45』はつぶれて当然、
というスタンスです。
私はそれに対して違和感を持っています。

杉田議員の「LGBTは生産性がない」と書いた記事は
確かにひどいし、ろくでもない。
そもそも、この記事はLGBTに対する財政支援云々が
主題でしたが、そんながなり立てるほど
LGBTの方々が手厚い保護を受けている事実はない。
つまりデマと言っていい。
編集者も校閲もじつに甘いチェックだったこと、
また昨今の編集体制について、『新潮45』は大いに
反省すべきであったことは言うまでもありません。
しかし「個人の尊厳」が傷つけられ、それを以て
一個の雑誌という表現の場がなくなるのは当然なのか。

倉持師範は古谷氏との対談の中で、こう記しています。

「被害者」というのも、もっときめ細やかに
見極めないといけない。
これもある種のポリティカル・コレクトネスによって
“金ぴか”の無敵の権利主体に仕立て上げられていないかと
いうことを見極めないといけません」

そう思うのなら、なおさら、なぜ『新潮45』が
つぶれて当然だと断言できるのでしょう?

ちなみに私は『新潮45』で数年前から
不定期ですが連載を持っていました。
軍隊のあまり知られていない組織について
紹介する記事でした。
売らんかなの姿勢ばかりの雑誌の中で、
唯一、地味でも、目立たなくても、
軍隊の縁の下に光をあてる記事は
掲載の意義があると判断してくれたのが『新潮45』でした。
私は表現の場を失いました。

倉持師範は、
『雑誌がなくなることの損失』なんて
言っている人間は、今まで自分はそこまで考えて
表現の自由を行使していたのかと、問いたい」とも
言っていますが、表現の「現場」で誠実に仕事をしている
人間なら、それを考えない人はいないのではないですか。
昨今の表現規制に苦労しているからこそ、
みなぼんはブログをアップしたのではないですか。

とはいえ、私はことさら「表現の場を奪われた被害者」
として権利を主張するつもりはありません。
「無敵の権利主体」になることを恐れるからです。
むしろこの機会に「表現の自由」とは何なのか、
公につながる議論をしたいと思っています。

倉持師範も議論をしましょう、と言ってくれました。
しかしゴー宣道場の今後の開催テーマは大筋で
決まってしまっていますので、割り込むのは難しい。
ただ今月20日、小林先生と泉美師範の生放送に
私もゲストで出演する予定です。
ここで議論をするというのはいかがですか?

笹幸恵

昭和49年、神奈川県生まれ。ジャーナリスト。大妻女子大学短期大学部卒業後、出版社の編集記者を経て、平成13年にフリーとなる。国内外の戦争遺跡巡りや、戦場となった地への慰霊巡拝などを続け、大東亜戦争をテーマにした記事や書籍を発表。現在は、戦友会である「全国ソロモン会」常任理事を務める。戦争経験者の講演会を中心とする近現代史研究会(PandA会)主宰。大妻女子大学非常勤講師。國學院大學大学院文学研究科博士前期課程修了(歴史学修士)。著書に『女ひとり玉砕の島を行く』(文藝春秋)、『「白紙召集」で散る-軍属たちのガダルカナル戦記』(新潮社)、『「日本男児」という生き方』(草思社)、『沖縄戦 二十四歳の大隊長』(学研パブリッシング)など。

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テーマ: ゴー宣DOJO in名古屋「人権カルトと日本人論」

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