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高森明勅
2019.3.7 07:00皇室

天皇の3つのお立場

最もシンプルに整理すると、
天皇には3つのお立場がある。
 
(1)皇祖(天照大神)の“系統と精神”の正しい継承者
(2)国家の公的秩序の頂点
(3)国民結合の中心
 
これらのうち、(2)は憲法に規定する
「日本国の象徴」に該当する。
(3)は同じく「日本国民統合の象徴」に当たる。
(1)はそれらの根底(又は前提)をなす、
“前”憲法的なお立場と言えよう。
 
これら3つのお立場に対応して、
天皇のご活動も3種類に分類できる。
 
憲法に規定する国事行為は、
(2)国家の公的秩序の頂点=日本国の象徴
としてのご活動。
「象徴としての公的行為」(公的行為、象徴行為)
とされるご活動の内容は、多様多彩だ。
よって、一括した説明は出来ないものの、
(2)国民結合の中心=日本国民統合の象徴
としてのご活動が大きな比重を占める
(但し、公的行為とされる外国元首のご接遇や
外国へのご訪問などは、むしろ国家の公的秩序
の頂点としてのご活動であり、これらの他にも
例外すべきものは少なくない)。
 
現在、政府が天皇の「その他の行為」
と位置づけているものの重要な部分は、
他ならぬ皇室の祭祀(宮中祭祀・山陵〔さんりょう〕
祭祀・勅祭)であり、この祭祀は(1)皇祖の
系統の正しい継承者としてなさる大切なお務めだ。
 
だから、(1)皇祖の継承者=「神道の最高の祭り主」
と見なすこともできる。
こうした3つの分類に対応して、
皇位継承儀礼も主なものは3種類行われる。
「神器(じんぎ)」の継承を表示する
「剣璽等(けんじとう)承継の儀」(国事行為)
と「賢所(かしこどころ)の儀」(皇室行事)は、
(1)のお立場を確認する儀式。
 
「高御座(たかみくら)」に昇られて
ご即位の事実を宣明される「即位礼正殿(せいでん)
の儀」(国事行為)は、まさに(2)のお立場を
確認する儀式。
 
「民(たみ)の稲」(国民が育てた稲)を
天皇が皇祖にお供えになって、ご一緒に
召し上がられる「大嘗祭(だいじょうさい)」
(皇室行事)は、(3)のお立場を確認する儀式だ。
 
かなり粗っぽい整理ながら、このように分類すると、
天皇のお立場とお務めが“統一的”に理解できるはずだ。
高森明勅

昭和32年岡山県生まれ。神道学者、皇室研究者。國學院大學文学部卒。同大学院博士課程単位取得。拓殖大学客員教授、防衛省統合幕僚学校「歴史観・国家観」講座担当、などを歴任。
「皇室典範に関する有識者会議」においてヒアリングに応じる。
現在、日本文化総合研究所代表、神道宗教学会理事、國學院大學講師、靖国神社崇敬奉賛会顧問など。
ミス日本コンテストのファイナリスト達に日本の歴史や文化についてレクチャー。
主な著書。『天皇「生前退位」の真実』(幻冬舎新書)『天皇陛下からわたしたちへのおことば』(双葉社)『謎とき「日本」誕生』(ちくま新書)『はじめて読む「日本の神話」』『天皇と民の大嘗祭』(展転社)など。

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