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高森明勅
2019.4.2 03:21皇室

新元号「令和」の出典

皇太子殿下が即位される5月1日当日、
元号は「平成」から「令和」に改まる。
 
次の元号、令和の出典はわが国の古典(国書)。
 
これまでの247の元号のうち、
出典が明らかな(又は推測可能な)例は200余り。
それらが全て、漢籍が出典だったのに比べると、異色だ。
 
万葉集、巻五「梅花の歌三十二首」に添えられた「序」から。
 
同序の作者は、(異説もあるものの)
大伴旅人(おおとものたびと)と見る説が有力。
出典になった部分の現代語訳を紹介する。
 
「初春のよき月であり(原文は→初春令月)、
気は清澄、風はやわらかに(同じく→気淑風和)、
梅は佳人(かじん=美しい女性)が鏡前の粧(よそお)
いのように開き、蘭はにおい袋の香のようににおうて
いる」(澤潟久孝〔おもだかひさたか〕訳)
 
「令月」は、漢籍の文選(もんぜん)に収める
張平子の帰田賦に「仲春令月、時和気清」と出てくる。
「気淑風和」も同じ帰田賦や王ギ之の蘭亭集序にも
似た句がある事が、既に指摘されている。
修辞上のオリジナルを探ると、やはり漢籍に行き着く。
旅人の手になると思われる同序は、実はなかなか
色っぽいレトリックを駆使していた。
伊藤博氏の現代語訳だとより鮮明だろう。
 
「梅は佳人の鏡前の白粉(おしろい)
のように咲いている」と。
 
安倍首相や菅官房長官、
或いは閣僚の面々は気付いていただろうか。
 
元号の出典が漢籍“だけ”でなく、
国書にまで範囲を広げたこと自体は、
今後も元号が末永く続いて行くべき事を考えると、
さほど目くじらを立てるには及ばないだろう。
 
写真:代表撮影/ロイター/アフロ)
高森明勅

昭和32年岡山県生まれ。神道学者、皇室研究者。國學院大學文学部卒。同大学院博士課程単位取得。拓殖大学客員教授、防衛省統合幕僚学校「歴史観・国家観」講座担当、などを歴任。
「皇室典範に関する有識者会議」においてヒアリングに応じる。
現在、日本文化総合研究所代表、神道宗教学会理事、國學院大學講師、靖国神社崇敬奉賛会顧問など。
ミス日本コンテストのファイナリスト達に日本の歴史や文化についてレクチャー。
主な著書。『天皇「生前退位」の真実』(幻冬舎新書)『天皇陛下からわたしたちへのおことば』(双葉社)『謎とき「日本」誕生』(ちくま新書)『はじめて読む「日本の神話」』『天皇と民の大嘗祭』(展転社)など。

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