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泉美木蘭
2019.5.17 08:19日々の出来事

「クローズアップ現代+」性暴力無罪判決を見た

昨夜の「クローズアップ現代+」で名古屋の性暴力無罪判決に
ついて見た。
先月『週刊新潮』が、
「伊藤詩織さんに1億円払えと訴えた『安倍』総理ベッタリ記者」
という特集記事とともに掲載していた事件だ。

実の父親によって小学生の頃から殴ったり蹴られたりされ、
12歳から父親に強姦され続けたという19歳の少女。
抵抗すると殴られたり蹴られたり、踏みつけられたりし、
専門学校の学費と生活費を返済するよう言われるようにもなった
という。

裁判では、同意がなかったことは認められたが、
あざができるほど殴られているものの、
それが性交を受け入れざるをえないほどの恐怖を感じさせる
ものではなかったなどの理由で、
「被害者が抵抗不能な状態だったと認定することはできない」
として無罪になった。

法律上、冤罪を防ぐために、「同意がない」「抗拒不能だった」
の2点を証明しなければならないそうだけど、
この少女の場合、被害を受け始めたのは「小児」の年齢からだ。
とてもじゃないが一人で生きていけるわけがないし、
適切な判断も持てない年齢から父親の暴行を受けていて、
そのまま暴行されながら育つしかないという環境に置かれた時点で、
なぜ父親のしたことが、精神的な支配をともなう性的虐待行為と
見なされないんだろう。
「抵抗しなかったから」と判断されたのは衝撃的だ。
今後、控訴審があるようだから、被害を受け続けた少女の
置かれた心理状態を、もっと精細に判断してあげてほしいと思う。

別のケースになるけど、
私は小学校1年生の時、学校帰りにナイフを持った見知らぬ男に
空き地に担ぎ込まれて、殺すと脅されながら蹂躙されたことが
あった。あまりの恐怖で、何をどうしろと言われても
「うん、いいからね、うん、いいからね」
と全部言うことを聞いたのをすごくよく覚えているし、
男に「このことは絶対に二人だけの秘密にしておこうね」
と指切りげんまんをされて、
「うん、うん、言わないからね、絶対に秘密にしようね」
と一生懸命に首を縦に振りながら答えたこともはっきり覚えている。
大泣きして帰宅したので、母親に問い詰められて、
ほんのさわりだけ話して、すぐに警察が来たけれど、
ナイフのことも、何をされたのかも全部は口から出て来ず、
結局、ちょっとした痴漢に遭ったぐらいのことしか、
話せなかった。
恐怖とショックが強すぎると、まじないにかけられて、
犯人に良いように行動してしまうんだよ。
特に子供という素直でピュアな心は。

泉美木蘭

昭和52年、三重県生まれ。近畿大学文芸学部卒業後、起業するもたちまち人生袋小路。紆余曲折あって物書きに。小説『会社ごっこ』(太田出版)『オンナ部』(バジリコ)『エム女の手帖』(幻冬舎)『AiLARA「ナジャ」と「アイララ」の半世紀』(Echell-1)等。創作朗読「もくれん座」主宰『ヤマトタケル物語』『あわてんぼ!』『瓶の中の男』等。『小林よしのりライジング』にて社会時評『泉美木蘭のトンデモ見聞録』、幻冬舎Plusにて『オオカミ少女に気をつけろ!~欲望と世論とフェイクニュース』を連載中。東洋経済オンラインでも定期的に記事を執筆している。
TOKYO MX『モーニングCROSS』コメンテーター。
趣味は合気道とサルサ、ラテンDJ。

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テーマ: ゴー宣DOJO in名古屋「人権カルトと日本人論」

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