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小林よしのり
2019.8.9 10:21日々の出来事

天皇制か、天皇制度か、天皇の制度か、皇室か

わしは「権威主義」が嫌いで、大学の偉そうな人物のご託宣
を真に受けることはない。
産経新聞の正論欄で、渡辺利夫氏が「天皇制」という言葉を
嫌悪すると書いている。またこれかと思う。

天皇制は左翼用語だと右派が言い始めてから、まことの尊皇心
がある者なら「天皇制」という言葉は使わないということに
されている。
その影響で、なんと共産党までが「天皇の制度」とか妙な
言い方をし出した。

八木秀次が「天皇制」はダメ、「天皇制度」と言いなさい
とか言ってるときから、何が違うんじゃい!と思っていたが、
いまだに右派の中にはこんな妙なこだわりがあるらしい。

この渡辺という学者は、では何と表現すればいいのかを
書いていない。まさか「帝室」ではないだろう。

わしの場合は読者にとって分かりやすい場合なら、なるべく
「皇室」で通したいと思っている。
だが、天皇についての思索を描くときに、常に「皇室」で
通すのは難しい。
なぜなら現実に憲法の中に「制度」として組み込まれている
からだ。

憲法の外にある存在なら「皇室」で叙述できようが、憲法や
皇室典範などの法の中に収容されているので、「天皇制」と
叙述するしかなくなる。

福沢諭吉の「帝室論」では、「帝室は社外のものなり」と
あるが、4月28日の「主権回復記念日」(沖縄では屈辱の日)
に天皇皇后両陛下を呼んで、万歳三唱した右派の者どもを
渡辺氏は批判したのだろうか?
あのとき、沖縄県民の心を大切に思っておられる天皇陛下の
気持ちはいかに苦しかったことだろうか?

天皇の政治利用はいけない。
だが、権力は何度もそれをやっている。
産経新聞に巣食う知識人どもは、民主党がそれをやったら
怒るのだが、安倍政権がやったら怒らない。
全くの二枚舌である。

小林よしのり

昭和28年福岡生まれ。漫画家。大学在学中にギャグ漫画『東大一直線』でデビュー。以降、『東大快進撃』『おぼっちゃまくん』などの代表作を発表。平成4年、世界初の思想漫画『ゴーマニズム宣言』を連載開始。『ゴーマニズム宣言』のスペシャル版として『差別論』『戦争論』『台湾論』『沖縄論』『天皇論』などを発表し論争を巻き起こす。
近刊に、『卑怯者の島』『民主主義という病い』『明治日本を作った男たち』『新・堕落論』など。
新しい試みとしてニコニコ動画にて、ブロマガ『小林よしのりライジング』を週1回配信している。
また平成29年から「FLASH」(光文社)にて新連載『よしりん辻説法』、平成30年からは再び「SPA!」(扶桑社)にて『ゴーマニズム宣言』、「小説幻冬」(幻冬舎)にて『おぼっちゃまくん』を連載開始し話題となっている。

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