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高森明勅
2019.11.9 06:00皇室

サウジアラビア王家の悩み

現代でも君主の地位の継承資格を「男系男子」に限定する
数少ない国の1つ、サウジアラビア。
一夫多妻制がその限定を支えている。
しかし、一夫多妻に伴う弊害もあるようだ。

「サウジアラビアは『建国の父』アブドゥルアズィーズ・イブン
・サウード(在位1932~53)が亡くなって以来、歴代の国王には
すべて彼の息子たちが順次即いてきた。

一夫多数妻を採った彼には22人の妃との間に40人前後の王子が
誕生したとされる。
…サウジアラビアの王家にとって難問となっているのが、増え続けている
『王族の数』である。

2017年現在でも、その数は実に7000人以上とも言われている。
このなかでも実際に王位継承に関わり、政官財軍の主要ポストに
就けるのは200人程度とされるが、それでも一夫多妻制が続く限り
王族は増え、それだけ王家の支出も増えていく。

特に、ファハド国王(1982~2005)の時代には、国内で禁じられて
いるはずの『飲酒』をはじめ、麻薬におぼれた王族や、国内外にいくつもの
豪奢な宮殿を建てる王族が登場し、王家に対する批判的な声が噴出した」
(君塚直隆氏『立憲君主制の現在』)。

継承資格を「男系男子」に限定すれば一夫多妻制(又は側室制度)が
必要不可欠となる。
又、一族の数もある程度多数でなければ、継承が不安定になる。
しかし、その数が膨れ上がれば費用がかさむ一方、不心得者も出てくる。
悩ましい問題だ。

我が国でも残念ながら、皇族の数が多かった戦前、傍系の宮家皇族の
中には余り感心できない行動も見受けられた。

【高森明勅公式サイト】
https://www.a-takamori.com/

高森明勅

昭和32年岡山県生まれ。神道学者、皇室研究者。國學院大學文学部卒。同大学院博士課程単位取得。拓殖大学客員教授、防衛省統合幕僚学校「歴史観・国家観」講座担当、などを歴任。
「皇室典範に関する有識者会議」においてヒアリングに応じる。
現在、日本文化総合研究所代表、神道宗教学会理事、國學院大學講師、靖国神社崇敬奉賛会顧問など。
ミス日本コンテストのファイナリスト達に日本の歴史や文化についてレクチャー。
主な著書。『天皇「生前退位」の真実』(幻冬舎新書)『天皇陛下からわたしたちへのおことば』(双葉社)『謎とき「日本」誕生』(ちくま新書)『はじめて読む「日本の神話」』『天皇と民の大嘗祭』(展転社)など。

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