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高森明勅
2019.11.19 06:00皇統問題

皇嗣、皇子、皇太子

皇室典範に次のような規定がある(8条)。

「皇嗣たる皇子を皇太子という。皇太子のないときは、皇嗣たる皇孫を皇太孫という」
「皇嗣」は皇位継承順位が1位の皇族。
「皇子」は天皇のお子様(男女とも)。
「皇孫」は天皇のお孫様(男女とも)。

天皇のお子様(皇子)で皇位継承順位が1位(皇嗣)である場合、「皇太子」という
称号を持たれる。

その皇太子がご不在で、皇位継承順位が1位の皇孫がおられた場合、その皇孫は
「皇太孫」という称号を持たれる。
そういう規定だ。

このように、同じ皇嗣でも、天皇の直系の「皇子」「皇孫」にだけ、
特別な称号を定めている。
それは、皇室典範が皇位継承の原則に「直系主義」を採用しているのに対応する
(直系主義では、継承順位において直系を優先し、傍系は後に回す)。
ところが、令和の皇室に「直系」の皇子(敬宮殿下)はいらっしゃらるが、
今の皇位継承ルールでは継承資格が「男子」に限定されているので、「皇嗣」ではない。
従って「皇太子」はいらっしゃらない(勿論、「皇太孫」も)。
「傍系」の皇嗣(秋篠宮殿下)がいらっしゃるだけだ。

これまでも指摘して来たように、直系の「皇太子」と傍系の「皇嗣」は、明確に異なる
(前者は次代の天皇となるべき方、後者は巡り合わせでその時の継承順位が1位の方)。
その事実を誰よりも深く自覚されているのは、恐らく秋篠宮殿下ご自身だろう。
だから、秋篠宮殿下は令和になって(つまりご自身が皇嗣のお立場になられて)からも、
宮中の祭祀において、“それまで通り”三殿(賢所・皇霊殿・神殿)の中にお入りになって
おられない。

殿外の幄舎(あくしゃ)にて、“一皇族”として洋装(モーニングコート)で「参列」
されているだけ。
「皇太子」ならば当然、古式の装束を召され、殿内で天皇とご一緒に祭祀に携わられる
べきところ、それを一切なされていない。
これは勿論、他者が制止できる事柄ではない。
明らかにご自身のご判断で、「皇太子」とは厳格に“一線”を画しておられる、
と考えるべきだ。

令和の間、秋篠宮殿下は(特別な場合を除き)参列者として以外のお立場で、
祭祀に携わられるおつもりはないのではあるまいか。
それが「皇太子」では“ない”、皇嗣としてのご自身の筋の通し方のように拝される。

【高森明勅公式サイト】
https://www.a-takamori.com/

高森明勅

昭和32年岡山県生まれ。神道学者、皇室研究者。國學院大學文学部卒。同大学院博士課程単位取得。拓殖大学客員教授、防衛省統合幕僚学校「歴史観・国家観」講座担当、などを歴任。
「皇室典範に関する有識者会議」においてヒアリングに応じる。
現在、日本文化総合研究所代表、神道宗教学会理事、國學院大學講師、靖国神社崇敬奉賛会顧問など。
ミス日本コンテストのファイナリスト達に日本の歴史や文化についてレクチャー。
主な著書。『天皇「生前退位」の真実』(幻冬舎新書)『天皇陛下からわたしたちへのおことば』(双葉社)『謎とき「日本」誕生』(ちくま新書)『はじめて読む「日本の神話」』『天皇と民の大嘗祭』(展転社)など。

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