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笹幸恵
2019.12.6 12:54皇統問題

産経新聞「正論」は少しも正論ではない

今日の産経新聞で、動物行動学研究家の竹内久美子氏が
またムチャクチャなことを書いている。

「日本の尊厳と国益を護る会」が安倍首相に申し入れた
「皇位継承の安定への提言」について触れ、
Y染色体はX染色体と違って薄まっていかない、
だから天皇陛下、秋篠宮殿下、悠仁殿下には
神武天皇のYが受け継がれている、
私はなぜこれを愚論という人がいるのか理解できない、
科学的説明などまったくなかった時代に、
先人たちは直観的に見抜いていたのだ!!!
と書いている。
だからこそ男系男子による皇統の継承を護ったわけで、
この事実が重要だというのである。

異常だと思う。
我が子が生まれて「この子は夫のYが受け継がれているのね」
とか、「女の子だからYはないのね」などと思う人が
そもそもいるだろうか。
生物学的に記号としてYやXは用いるだろうが、
それをもって崇め奉り、絶対的なものだとする考えは、
たやすく優性思想につながるのではないか?

しかも神武天皇のYが受け継がれている?
それなら欠史八代の存在を証明しなければならないし、
神武天皇を引っ張り出してきて、ちゃんとY染色体の
検査をしないとね。
でないと、この事実が重要などとは言えないはずだ。

それから女系天皇を認めると「別の王朝ができる」説。
どれだけ古代中国の思想に影響されているのか。
日本はなだらかにゆるやかに臨機応変に「双系」で
やりくりしてきたからこそ、今の天皇制が残っている。
そもそも「王朝が変わる」って、いつの時代の話なの?
女性・女系天皇になったとして、彼女が山田某さんと
結婚したら、山田王朝になるの?
鈴木某さんと結婚したら鈴木王朝になるわけ?
「鈴木王朝になったから、もはや皇室に敬意は
払えない!」とか言っちゃったりするのかね。
いつの日か、ぜひ言ってほしい。

そして旧宮家系男子の復活、これもいい加減にしてほしい。
竹内氏はこう書いている。

「ある国会議員の方は『旧宮家の復帰は国民の声さえ高まれば可能』
と明言されており、この件には国民の声が必須なのである」

いちいち指摘するのもバカバカしいけど、
国民の声が高まらないのはなぜか、一度考えてみなさい。
国民の圧倒的な声は、旧宮家の復活より女性・女系なのだ。
この事実を全く無視している(無視できる)自分の感性を
まず疑え!!!


開いた口が塞がらないのは、最後の一文。
竹内氏は、竹田恒泰の養子縁組案を紹介しつつ、
「ただ古い伝統にしがみついているわけではない」
という。
「皇統の男系男子による継承は、かつては藤原氏などの
国内の権力を排除するという意味があった。
今、排除すべき権力はどれくらいの範囲に及んでいるだろうか。
男系男子による皇統の継承は、日本国の存亡に関わる問題なのだ」


???


排除すべき権力がどれくらいの範囲に及んでいるか???
いったい何の話をしているの???
皇位継承のために血で血を洗うような戦いが
いま、現実に、起きるのか?
排除すべき権力って、何ですか? 
ちょっと、なんというか、妄想を垂れ流している
としか思えない。

竹内さんは、女性天皇、女系天皇が誕生したら、
日本は滅びる、といっているわけだね。
「日本の尊厳と国益を護る会」の皆さんも、
本気で滅びる、と思っているわけだね。
わたし、ちゃんと覚えておきますからね。


さて、いよいよ明後日に迫った12月8日の東海ゴー宣道場、
「正念場を迎える皇位の安定継承」
と題して開催される。
これを見れば、男系男子固執派がいかに
ムチャクチャか理解できるはずだ。
メディア関係はぜひ取材してほしい。
産経新聞も、ぜひ取材しに来てほしい。
ちゃんと自分の脳みそと、感性と、良識を総動員して
議論しましょうよ。
笹幸恵

昭和49年、神奈川県生まれ。ジャーナリスト。大妻女子大学短期大学部卒業後、出版社の編集記者を経て、平成13年にフリーとなる。国内外の戦争遺跡巡りや、戦場となった地への慰霊巡拝などを続け、大東亜戦争をテーマにした記事や書籍を発表。現在は、戦友会である「全国ソロモン会」常任理事を務める。戦争経験者の講演会を中心とする近現代史研究会(PandA会)主宰。大妻女子大学非常勤講師。國學院大學大学院文学研究科博士前期課程修了(歴史学修士)。著書に『女ひとり玉砕の島を行く』(文藝春秋)、『「白紙召集」で散る-軍属たちのガダルカナル戦記』(新潮社)、『「日本男児」という生き方』(草思社)、『沖縄戦 二十四歳の大隊長』(学研パブリッシング)など。

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