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高森明勅
2019.12.23 06:00皇統問題

「側室」不在という現実

将来に向けて皇位の安定継承を目指す場合、前提条件として
必ず頭に入れておく必要があるのは、既に側室制度が廃止され、
法的にも非嫡出の継承資格が否認されている、という現実だ。

その上で、明治以来の「男系男子」という縛りを今後も維持すれば
どうなるか。答えは明らかだろう。

「女系継承を認めず、しかも庶子(非嫡出子)継承を認めないと云ふ
継承法は無理をまぬかれぬ」

「皇庶子の継承権を全的に否認することは、
皇位継承法の根本的変革を意味する」
(神社新報社政教研究室編『天皇・神道・憲法』昭和29年)

「『これまでの男系継承の維持の上で、非嫡出子による継承が
大きな役割を果たしてきたことを考えれば、一時的に男系男子の
皇位継承者が確保されたとしても、非嫡出子による継承がない限り、
男系、男子の継承はいづれ難しくなる』
といった主張は一定の説得力を有してゐる。
ゆゑに『なぜ、女帝排斥、女帝不要を説く論者らが、庶子容認がもつ、
この点のメリットを前面に押出そうとしていないのか』
(奥平康弘東大名誉教授)といった皮肉めいた批判も存在するのである」
(神社新報編集部『皇室典範改正問題と神道人の課題』令和元年)

側室の不在と非嫡出による継承の可能性が喪われた事実の“重み”を、
真正面から受け止めた誠実な言及だろう。

【高森明勅公式サイト】
https://www.a-takamori.com/

高森明勅

昭和32年岡山県生まれ。神道学者、皇室研究者。國學院大學文学部卒。同大学院博士課程単位取得。拓殖大学客員教授、防衛省統合幕僚学校「歴史観・国家観」講座担当、などを歴任。
「皇室典範に関する有識者会議」においてヒアリングに応じる。
現在、日本文化総合研究所代表、神道宗教学会理事、國學院大學講師、靖国神社崇敬奉賛会顧問など。
ミス日本コンテストのファイナリスト達に日本の歴史や文化についてレクチャー。
主な著書。『天皇「生前退位」の真実』(幻冬舎新書)『天皇陛下からわたしたちへのおことば』(双葉社)『謎とき「日本」誕生』(ちくま新書)『はじめて読む「日本の神話」』『天皇と民の大嘗祭』(展転社)など。

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