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笹幸恵
2020.1.11 14:09政治

与党も野党も欺瞞から目を背けるな

昨日、河野防衛大臣は中東地域への自衛隊派遣を命じた。
多くの自衛官は、「いま我々が行かなくて誰が行く」と
使命感に燃えていると思う。
私自身もまた、緊張が高まっている地域だからこそ
自衛隊が行く意味があると考えている。
原油や天然ガスなど、日本にとって必要な資源を運ぶ
タンカーを、危険だからといって放置するのは
主権国家としてあるべき姿ではないからだ。

ただし、これに賛成する与党も、反対する野党も、
欺瞞から目をそむけてはダメだ。
現状では自衛隊を派遣するしかないのだけど、
その自衛隊は「軍隊」として万全の体制にあるわけではない。
何度も繰り返すが、法的根拠が自衛隊設置法の
「調査・研究」でしかないからだ。
海上警備行動だって、できることは限られている。
それもこれも、自衛隊が軍隊として規定されていないからだ。
そのために自衛官個人の命がかえって危険に
さらされることもあり得る。

彼らは黙々と任務を遂行するだろう。
政治家の不作為は、一人ひとりの自衛官の
崇高な使命感と犠牲的精神によってのみ支えられている。
だったら、せめて守るに値する国になろうと努めるのが
政治家の良心ではないのか。
自衛隊を「戦力」であると規定し、それをコントロールする
力量を持ち、国民の理解を得るために真正面から議論して
みせるのが、政治家の務めではないのか。

安倍首相は、自衛隊明記の加憲案などでお茶を濁すべきではない。
安倍首相も河野防衛大臣も、「今の憲法では君たちを
危険にさらすことになるが、きっとこれを変えてみせる。
君たちを一人前の軍隊にするよう尽力する。
だから今は涙を呑んで行ってくれ」と言わなきゃウソだ。

反対する野党も野党で、「国際社会からどう見られるか」などと
世間体を気にした日本人的思考で反論していていいのか。
自衛隊は軍隊としての機能が整っていない、不備があるからこそ
危険なのだと言わなければ、説得力を持たない。
そうでなければ、どんなに言葉を連ねようと、
「日本関係船舶など見捨てて良い」と言っているのと
同じではないだろうか。

どちらも、主権国家として機能不全に陥っている現状を直視せよ!
笹幸恵

昭和49年、神奈川県生まれ。ジャーナリスト。大妻女子大学短期大学部卒業後、出版社の編集記者を経て、平成13年にフリーとなる。国内外の戦争遺跡巡りや、戦場となった地への慰霊巡拝などを続け、大東亜戦争をテーマにした記事や書籍を発表。現在は、戦友会である「全国ソロモン会」常任理事を務める。戦争経験者の講演会を中心とする近現代史研究会(PandA会)主宰。大妻女子大学非常勤講師。國學院大學大学院文学研究科博士前期課程修了(歴史学修士)。著書に『女ひとり玉砕の島を行く』(文藝春秋)、『「白紙召集」で散る-軍属たちのガダルカナル戦記』(新潮社)、『「日本男児」という生き方』(草思社)、『沖縄戦 二十四歳の大隊長』(学研パブリッシング)など。

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